
「風俗で脅されても怖がらないでください」われわれ弁護士はそのように相談者に伝えています。
なぜなら、脅迫や恐喝は、人を畏怖(怖がらせること)させて正常な判断能力を奪い、自分の思うように相手をコントロールする犯罪であるからです。
しかし、「本番強要(もしくは盗撮)で警察に被害届を出す」「家族や職場に連絡する」「それが困るなら賠償金を支払え」こんな台詞を吐かれて怯えない人がはたしているのか。
ほとんどの方が、”こんな脅迫文言を怖がるなというほうが無理がある”と思うはずです。
そこでここでは、恐怖心から状況を悪くしてしまう行動に走らないための対処法や、対策について、風俗トラブルの解決を数多く扱っている弁護士が解説していきます。
全て読み終えるのに5分ほどかかりますが、風俗で脅された時に冷静な対応がとれるようになりますのでご一読いただけたらと思います。
この記事の目次
脅迫罪と恐喝罪
まずそもそも、脅迫と恐喝の違いについてよく分からないという方もいると思いますので、風俗トラブルでよくある事例にあてはめて簡単に説明します。
脅迫罪
簡単に言えば、人を脅して怖がらせることです。風俗における脅迫の例としては次のようなものがあります。
- 風俗嬢が店を辞めたいと申し出たところ、「勝手なことされてムカつくから、あなたの親に風俗勤務をばらす」と店長から言われた
- 店外デートをした客と揉め事になり、「腹がたったから、隠し撮りしておいた性行為の動画をネットにばら撒く」と言われた
別の犯罪が成立することもある
もし上記例で、「親に風俗で働いていることをばらされたくなければ、店を辞めるな」と脅されてそれに従った場合には、強要罪が成立します。
また、「隠し撮りした動画をネットに拡散されたくなければ、今後は無償で性的サービスを行え」と脅されて従ったとすれば、強制性交等罪(旧強姦罪)が成立します。
単に脅すだけでなく、脅して義務のないことを行わせれば強要罪になり、脅して性行為にもちこめば強制性交等罪となるのです。
恐喝罪
人を”恐喝して”とありますが、ここでいう恐喝とは、「脅迫」と考えていただいて構いません。
つまり、人を脅迫して、財物(お金や物)を引き渡させたときに成立します。
風俗における恐喝の例としては、次のようなものがあります。
- デリヘル等の風俗で本番行為をし、警察への被害届や勤務先への連絡をして欲しくなければ罰金を払えと脅してくる
- 性行為の盗撮がばれ、免許証のコピーや会社の名刺を取り上げられ、大事にしたくなければ念書を書けと言われ、高額な示談金を支払う念書を無理やり書かされた
脅迫と恐喝の違い
脅迫と恐喝の違いは、その目的です。
脅迫は、相手を怯えさせること自体が目的であり、恐喝は、金品を得ることを目的としています。
そして、風俗店や風俗嬢が脅しの先に目的としているのは金銭ですので、ほとんどが恐喝事案といっても過言ではないでしょう。
風俗で脅迫・恐喝するときによく使われる台詞一覧
風俗で脅迫されるきっかけとしては、本番行為・盗撮・妊娠トラブルが全体の9割程度を占めています。そして、いざトラブルが起きると、まずは以下のような台詞でお客を脅してきます。
- 「警察にレイプされたと被害届を出したら逮捕されるよ」
- 「強姦で捕まったら勤務先や家族にもバレるし人生終わりだね」
- 「女の子は同意してないって言っている以上、警察は犯罪扱いするよ」
- 「本番強要されたときに性器に傷がついたみたいだから強姦致傷罪で実刑くらうね」
- 「風俗での盗撮は迷惑防止条例違反で犯罪になるって知らなかったの?」
- 「動画を確認するから今すぐスマホのパスワードを解除してこっちに寄越せ」
- 「何度かうちの店に来てるみたいだけど常習だろ?正直に話すまで家に帰さないからな」
- 「検査したら妊娠してたから中絶費用と慰謝料払ってよ」
- 「あなた以外に本番してる人いないから間違いなくアナタの子供だから。責任とってよ」
- 「強姦(盗撮)で逮捕されたらマスコミに実名報道されるよ?」
- 「奥さん子供や勤務先に風俗でトラブル起こしたことが知れるけどいいの?」
- 「会社クビになるね。人生終わったじゃん」
そして、「それが嫌なら、示談金(その他、損害賠償・慰謝料などの名目)を払え!」と脅迫してくるのが一般的な流れです。
そのほかにも、規約違反を理由として高額な罰金を脅し取られることも少なくありません。
風俗で脅迫されたときの注意点
慌ててはいけない
本番や盗撮など、自分にも落ち度があり、しかも柄の悪い風俗店員に威圧されて慌てない人がいるかといえば多くはないでしょう。
しかし、先述した脅し文言は、彼らがお客を怯えさせて高額な金銭を巻き上げるための定型文のようなものですので過敏に反応せずにまずは冷静に考える必要があります。
まず、本番行為ですが、暴力を振るったり、力ずくで抑えるつける、脅して抵抗できなくするなど、よほどのレベルの言動でなければ犯罪にはなりません。
盗撮については、最近の各都道府県の迷惑防止条例の法改正により、ラブホテルやサービスルームでの盗撮も犯罪の対象とされるようになってきました。しかし、必ずしも被害届が受理されて身柄が拘束されるというわけではなく、ケースバイケースです。
妊娠トラブルに至ってはそもそも犯罪ではなく、また、妊娠していない、あるいは他の男性が父親であるといった詐欺である可能性も十分にあります。
強い語気で脅されると、本当に自分の人生が滅茶苦茶になってしまうのではないかという不安と恐怖で気が動転します。しかし状況に応じて適切な対応をとれば穏便に解決できる事例がほとんどですのでまずは弁護士にご相談下さい。
脅されて支払うという形を作ってはいけない
風俗のスタッフや店長などに店の事務所やホテル等の狭い空間で罵声を浴びせられたり、時には冷静な口調で淡々と脅されることもあるでしょう。どちらにしても脅されている方は精神的にも肉体的にも疲弊して冷静な判断力を失います。
そして、この脅迫されている現状から少しでも早く脱したいがために、相手の提示する条件で示談書や念書、覚書といった書面に署名させられる流れになりがちです。
風俗での恐喝・脅迫の相談
風俗での恐喝・脅迫被害の相談としてまず最初に思い浮かぶのは、「警察」ではないでしょうか
しかし、当弁護士事務所に、恐喝・脅迫の被害相談に来られる方の多くは、警察に相談に行かない方が多いのが現状です。 理由としては、ご相談者様自身が、『法律に違反している』可能性が高あったり、事を大きくして家族や勤務先の会社に知れることが困るからでしょう。
デリヘルなどの風俗での恐喝案件のご相談として多いのは、「本番トラブル」ですが、風俗嬢の同意なく本番行為をしたのであれば、行為に至った状況にもよっては強姦罪等の性犯罪に該当する可能性があります。
風俗での恐喝・脅迫の警察への相談は、「相談をしたくても出来ないの」が現状です。そこに付け入る隙が生じてしまうのです。
その他に、法律家を入れて裁判等で徹底的に争う方法も御座いますが、当弁護士事務所では、『家族や友人、勤務先などに知られずに』解決することが最も望ましい結果であると考えております。
そして、望む結果を得る為に欠かせない情報や証拠を調査するのが当弁護士事務所の役目です。
「家族や友人、知人、勤務先」に風俗店でトラブルを起こした事が知れれば、たとえ恐喝や脅迫の被害から免れたとしても、家族関係の悪化、勤務先での評価の低下など取返しのつかない大きな爪痕を残す結果となってしまいます。
そのような結果を招かない為には、徹底した準備と解決の為の知識と経験が必要となってきます。
風俗で脅しの被害にあったら
風俗での恐喝や脅迫被害に巻き込まれた方が陥りやすいのですが、「お金を払えば解決できる」と考える人が非常に多いです。
確かに、要求された罰金や示談金を支払って解決するケースもあります。
しかし、罰金や示談金を支払ってすんなり解決する保証は一切ありません。そもそも法外な金銭を請求してくる相手がその後に何もしてこないと考えるのは楽観視をしすぎでしょう。
請求された金額を支払ったにもかかわらず、「女の子が精神的に傷ついたから慰謝料を払え。払わないなら警察に強姦の被害届を出す」等の脅しを受けて、当弁護士事務所に来る方も多数おられます。
これは風俗トラブルだけに当てはまる事ではないですが、恐喝・脅迫行為に一人で対応することは自殺行為に他なりません。風俗店と暴力団の関係を考えれば、相手は当然ながら脅しのプロである可能性があります
対応する者が一人の方が脅しやすいのはもちろんのこと、一人の場合には恐怖心によって正常な判断ができない思考に陥る事も知っています。
家族や会社に迷惑をかけずに解決したい方は、多数の解決実績をもつ風俗トラブル対応のプロにお任せ下さい。誰にも知られずに解決します。まずはお気軽にご相談下さい。
風俗での恐喝や脅迫の4つの被害対策法
1.危険な店舗は避ける
風俗店にはいろいろな店舗がありますが、節度を持って運営されている店舗もあれば危険な店舗もあります。まずは、利用者の口コミや評判などを確認して、利用しようとしている店舗が安全な風俗店かどうかを確認することが大切です。
悪質な風俗店では、本番行為をしていないにもかかわらず本番行為をしただろうと恫喝されたり、罰金を払わなければ職場に行為をばらすといった恐喝を行ってくる店舗もあります。
さらには、そもそも美人局で店舗側とグルだったり、裏で糸を引いている男性がいたりしてお金を巻き上げようとしていることもあるのです。
こういった店舗はごく一部とはいえ、トラブルに巻き込まれないに越したことはありません。少しでも怪しいと感じる店舗は利用しないというリスク管理が大切です。
2.店舗が定めている規約をよく読み、ルール違反はしない
ソープとは異なり、デリヘルなどの風俗店は本番行為は禁止されています。そのほかにも、盗聴や録音などの行為についても必ずと言っていいほど規約で禁止されています。
店舗側から悪質であると判断されてしまえば出入り禁止になるのは当然のことながら、罰金や示談金と称した金銭の恐喝や、場合によっては警察に被害届を出されてしまったりする可能性もないとは言えません。
盗撮や録音については、風俗店によっては盗撮プレイができる店舗もります。無用なトラブルを避けるためにもこういった店舗を選んでみてはいかがでしょうか。
3.身分証明書は持っていかない
悪質な店舗によっては、本番行為を行っていないのに行ったと言いがかりをつけるなどの悪質な店舗もあります。また、女性と合意の上で本番行為をしてしまい、後日風俗店スタッフから連絡が入って本番行為を行ったことについて罰金を求められるといったケースもあります。
こういった時には身分証明書のコピーを取られてしまうほか、中にはクレジットカードや携帯電話を没収されたといった人もいました。このような事態を避けるため、できるだけ身分証明書やクレジットカードなどは話し合いの場には持っていかないことも大切です。もしも「後日持ってくるように」と言われたとしても、それまでに何らかの対策を立てることができます。
4.トラブルに巻き込まれそうになったら早い段階で弁護士に相談を
これまで見てきた通り、風俗店からの罰金や慰謝料の請求に関してはよほどのことがない限り支払い義務はありません。また、暴力を使ったり無理やり本番行為を強要したのではなく、合意があっての本番行為であれば刑事罰の対象になることもありません。
しかし、脅しめいた言葉で金銭を要求するなどなんらかの