デリヘルやヘルスなどの風俗店で罰金を要求されるトラブルは多くありますが、そもそも罰金とは、「罰として出させる金銭」のことを指します。

罰を受けるには何かしらの規則に違反した場合でなければなりませんが、お客の規則違反が問題となるケースとしては、本番行為や盗撮、店外デート、引き抜き行為…などがこれに当ります。

  • 「本番行為をした場合には罰金○○万円支払っていただきます」
  • 「盗撮・盗聴(録音)行為が発覚した場合には、録画録音機器を没収の上、罰金○○万円を支払うこととする」

このような文言を、風俗店の注意事項の張り紙やホームページの利用規約で見たことのある人は多いはずです。

また、風俗店スタッフの規約違反が問題となるケースとしては、スタッフと女の子の交際、女の子の遅刻・無断欠勤・当日欠勤・掛け持ち・早期退職…となります。入店時に、規約に違反した場合は罰金を支払うといった契約書に署名させられたり、中には口頭で説明を受けるだけの場合もあります。

お客に対する利用規約については、お客と店との間でトラブルが起きるのを回避するための抑止力としての意味合いが強いものですが、実際に本番や盗撮などを行った場合、上記張り紙や利用規約を根拠に、高額な罰金を請求してくる風俗店が数多くあるのも事実です。

また、スタッフに対する規約は、店の風紀や規律を乱さないようにする目的もありますが、実際に規約違反をしてしまうと、法外な金額を要求し、給料から天引きされたり、罰金を支払い終えるまでは退店できないように仕向けてきます。

では、そもそも風俗店が罰金を支払わせるのはどのような理由なのでしょうか。また、もし違反行為をしてしまった場合、法律的に罰金を支払わなくてはならないのでしょうか。弁護士がわかりやすく詳細に解説します

まずは、風俗店のお客に対する罰金請求につき解説し、その後に、スタッフに対する罰金請求についての解説となります。罰金を支払わなくてよい明確な根拠がわかりますので、最後までしっかりと読まれることをお勧めします

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風俗店がお客に罰金を請求してくる理由

1.女の子がお店を辞めてしまうことを想定しての損害賠償の意味合い

許可なく本番強要や盗撮をしたことにより、女の子が精神的な傷を負い風俗業に嫌気がさしてお店を辞めてしまうとお店側には実損害が生じます。

女の子を募集する際に、求人媒体への高額な広告費や、スカウトマンへの報酬を風俗店は支払っており、また、女の子が減ることで稼働が下がり売上減少に繋がる事もあるからです。

そういった意味では、風俗店側が本番や盗撮を理由として罰金請求してくる事も一理あるとはいえます。

しかし、風俗嬢がお店を辞める辞めないにかかわらず罰金要求してくる点からすれば、実損害が生じてない段階での罰金の要求は不当と言わざるを得ません。

2.風俗トラブルを利用して金銭を巻き上げる目的

風俗トラブルに乗じて、金銭を巻き上げる目的で罰金要求するケースが多くあります。

このようなケースでは、お客に風俗店の規約や、法律に違反した後ろめたい気持ちがあることを利用して、恐喝・脅迫めいた脅し文句で罰金の支払いを促します。

そもそも風俗店は罰金名目でお金を脅し取るのが目的のため、もし脅しに屈して罰金を支払ってしまえば、今後カモ扱いされていつまでもたかられる羽目に遭いますので要注意です。

風俗での本番や盗撮の罰金は法的支払義務があるか

風俗店に本番や盗撮の罰金を支払う法的義務は存在しません。

なぜなら、罰金とは法律的には刑事罰であって、民間の一風俗店が罰金を科すことはできません。したがって、法律的には罰金の支払い義務は存在しません。

よく、駐車場の看板に「無断駐車した場合は罰金○○万円頂きます」と書いてあるのと同じで何ら意味をもたないものです。

違約金だと主張されたら

”罰金請求に応じる法的義務がない”と弁護士が風俗店の店長やオーナーに伝えると、「罰金の記載だが、それは違約金を意味している」と反論してくるケースが多々あります。

違約金とは、債務不履行があった場合に、債務者が債権者に支払うとあらかじめ約束した金銭のことです。本番行為や盗撮をすることは、風俗店の利用規約を守ってサービスを受けるといった債務をちゃんと履行しなかったことになるので、一見すると支払わなくてはならないかのようにも思えますね。

しかし、”本番をしたら罰金100万円””盗撮をしたら罰金50万円”といった利用規約は、暴利行為として民法90条の公序良俗により無効となります。暴利行為とは、相手が知識・経験不足や、切羽詰った状況にあることを利用して不当に財産的利益を得ることです。

お客に対し、「本番や盗撮は犯罪だから警察に逮捕されるよ。嫌なら罰金払え」との台詞は、お客が法律知識に明るくないことを利用し、不安に陥れて金銭を要求していることに他なりません。しかも本番行為も盗撮も店に直接的な損害を与えることにはならないのに高額な金額設定となっております。これは暴利行為以外のなにものでもありませんので、法律上無効となります

なお、風俗での本番や盗撮が犯罪となるのかどうかについては、以下の記事にわかりやすく詳細に解説していますので参考にしてください。

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風俗嬢や男性従業員は店に罰金の支払い義務があるのか?

風俗店も一般的な企業や店舗と同様、従業員に対して就業に関してルールを設けています。

そのルールの中には、客との店外デートや本番行為の禁止、男女スタッフ間の恋愛関係禁止、掛け持ちや遅刻・欠勤に関するものなど、店舗によっていろいろな禁止事項が盛り込まれています。

そして、罰金を科された女の子は、支払いが終わるまで店を辞めさせないといった措置をとられます。男性スタッフにおいては、店舗のオーナーから暴力を受けたり、高額な罰金を支払う誓約書にサインをさせられるなどのパターンが多いでしょう。

しかしそもそも、風俗嬢や男性従業員には罰金の支払い義務があるのでしょうか?

罰金の支払義務はないが、違約金や損害賠償の支払いが争点となる

お客に対して罰金を科すケースと同じで、罰金は国が犯罪を犯した人に対して科す刑事罰なので、風俗店が設定できるものではありません。

しかし、入店時に店とスタッフとの間で交わされる雇用契約書や誓約書においては、”規約違反をしたら罰金を支払う”と表記されていても、実質的な意味合いとしては、違約金や損害賠償を意味していることが多いため、法律上は、違約金や損害賠償金の支払義務があるかないかという点が争点となります

違約金や損賠賠償を想定した契約は労働基準法に違反する

雇用されて働く労働者は雇用者や使用者と比較して弱い立場に置かれやすいため、労働基準法でその権利は厚く守られています。労働基準法によれば、使用者は労働契約を結ぶときに違約金や損害賠償を予定するような契約はできません(労基法16条)。

労働基準法第16条(賠償予定の禁止)

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない

そのため、就業規則などには禁止事項の定めは記載できても、「それを守らなければ違約金や損害賠償を請求する」と定めることはできないのです。

つまり、罰金=違約金・損害賠償という意味であったとしても、店とスタッフとの間で交わされた罰金の支払いに関する取り決め(契約)は労働基準法違反となり無効となります。「スタッフ間での交際が発覚したら罰金100万円」といった取り決めをしていても払う必要はないということです。

参考:コンパニオンと関係をもった男性スタッフに罰金!しかし損害賠償を予定する契約は労働基準法16条に違反し無効に!?

ただし、契約でそのような賠償金の支払いの予定がされてなかったとしても、実際に風俗店に損害を与えてしまったぶんについては支払う必要はでてきます。例えば、風俗嬢が遅刻や無断欠勤したことで予約キャンセルとなって売り上げが下がった場合などです。

なお、風俗店を辞めたいが、罰金の支払いが済むまで辞めさせてくれないといった相談も多いのですが、その対処法については下のリンク先にわかりやすく丁寧に解説していますので参考にしてください。

罰金を支払わせたら犯罪になることも

風俗店がお客やスタッフに暴力をふるったり脅迫したりして罰金などを要求してきたときには、刑法上の恐喝罪や、強盗罪(罰金を払う前ならそれぞれ未遂罪が成立します。

恐喝罪(刑法249条)

1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する

強盗罪(刑法236条)

1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する

どちらも非常に重い刑罰が科せられることになります。これまで我々弁護士がかかわってきた案件のなかには実際に強盗罪が成立したこともあります。本番行為をしたお客に土下座させて謝罪を強要し、その後、罰金を支払わせるために深夜にコンビ二のATMまで連れて行った事案です。

また、風俗店が実際に罰金と称して違約金や損害賠償を従業員に支払わせた場合、先述した、労働基準法16条では罰則規定を設けて厳重に対応しています(労基法119条)。この場合は6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金となり、刑も軽いとは言えません。

ただし、こういった法律知識で店からの罰金要求を拒む自信が無い、自分の個人情報を知られているので逆恨みされて自宅や会社に連絡されても困る、警察沙汰にしたくない、こういった理由をお持ちの方は、日本一気軽に相談できる弁護士事務所までお気軽にご相談下さい。親身に誠実に、そして早急に解決します。

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