財産分与には時効がある?離婚前、離婚後にやるべきことなど解説

財産分与は可能な限り、離婚前に行うべきです。

しかし、諸事情により先に離婚して、後から財産分与をしたいという方もおられるのではないでしょうか?

そこで気を付けなければならないのが財産分与の時効です。

この(消滅)時効は正確には除斥期間といいますが、その点に関することはこの記事の中で詳しく解説いたします。

また、離婚前、離婚後、つまり、除斥期間が進行している中でやるべきことなども詳しく解説いたします。

ぜひ最後までご一読いただき、財産分与の時効について少しでも知っていただけたら幸いです。

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財産分与は財産分与請求権という権利の一種

財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いたと認められる財産を夫婦で分け合うことです。

財産分与の対象となる財産は現金、預金、車、不動産(土地・建物)などプラスの財産から、住宅ローン、借金などマイナスの財産まで様々です。

財産の名義が夫(又は妻)であるかどうかは関係ありません。

たとえば、夫が会社員、妻が専業主婦の家庭で、夫の名義の口座を生活口座としており、その口座に夫の給与等が振り込まれていたとします。

しかし、その口座の預金も財産分与の対象となります。

専業主婦である妻も家事育児等によって夫を支え、夫婦の財産形成に貢献したと評価されるからです。

そして、妻が夫に対して「(夫名義の口座の預金を含めた)財産を私(妻)に分けてください。」と請求できる権利が財産分与請求権という権利です。

財産分与請求権は民法7681項に基づく法律上の権利です。

(財産分与)

第768条
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

なお、財産分与には大きく分けて「清算的財産分与(上記のように、夫婦が婚姻中に築いた財産を清算・分配するもの)」、「扶養的財産分与(離婚後の経済的に困窮する可能性が高い人(専業主婦など)に対して扶養のために補充的に認められるもの)」、「慰謝料的財産分与(一方当事者の有責な行為により離婚を余儀なくされたことによる精神的苦痛について慰謝するためのもの)」の3種類があります。

財産分与と時効

前述のとおり、財産分与は財産分与請求権という権利の一種ですので時効にかかります。

この点、民法7682項では、財産分与請求権は離婚が成立した日(離婚届が市区町村役場に受理された日)から2年で時効にかかると規定しています。

時効がなくいつまでも財産分与請求権が行使できるとなると、行使される方としては、果たして財産を処分してよいのかどうか不安定な地位に立たされます。

こうした状態を解消するために時効が設けられているのです。

(財産分与)

第768条
1.(略)
2.前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。

なお、協議、調停、審判、裁判(以下、協議等といいます)で財産分与に関して取り決めが行われた場合は、財産分与請求権とは別の、取り決められた内容に応じた新たな権利が発生します。

たとえば、協議離婚で「夫が妻の口座に対して〇〇円を振り込む」という取り決めが行われた場合は、財産分請求権とは別の(妻の夫に対する)金銭支払請求権という権利が発生します。

この金銭支払請求権の時効は10年です。

つまり、妻は、離婚が成立した日から最低10年、夫に対して「金銭を支払え。」と請求できることになります。

財産分与請求権は「消滅時効」ではなく「除斥期間」にかかる

これまでご紹介してきた財産分与請求権と金銭支払請求権については時効という言葉を用いてきました。

この時効とは正確には消滅時効といいます。

消滅時効とは、権利を行使できる時点から一定期間が経過し、期間が経過することよって利益を受ける人(前述の例でいえば、請求を受ける夫)が「権利を消滅して欲しい」と言った(これを「消滅時効の援用」といいます)場合に権利が消滅する制度のことです。

しかし、財産分与請求権については、この消滅時効ではなく、除斥期間という消滅時効とは別の制度によって権利が消滅することとなっています。

除斥期間とは、一定期間経過すると当然に権利が消滅する制度です。

一見、消滅時効と何ら変わりはないように思えますが、実際は全く異なります。

まず、消滅時効の場合、期間の満了を猶予する(延期する)こと、更新する(一定程度進行した期間をリセットして0(振り出しに戻す)ことが可能ですが、除斥期間は期間満了の猶予、更新ができません

また、上記のとおり、消滅時効の場合は、期間の経過によって利益を受ける人が援用することが必要ですが、除斥期間では援用するまでもなく当然に権利が消滅します。

財産分与は可能な限り、離婚前に解決を

財産分与については可能な限り、離婚前に取り決めを行っておくべきです。

離婚前であれば、財産分与の証拠となる通帳などの書類を集めやすいです。

また、何より離婚後よりは夫婦同士で話し合いできる状況にあるといえます。

離婚前の協議、調停、審判、裁判のいずれの手続きによっても財産分与の取り決めを行うことは可能です。

他方で、「とりあえず離婚して、財産分与については離婚後に取り決める」という方法を選ばれる方もおられるでしょう。

確かに、財産分与は夫婦間で揉めやすい事項の一つであり、後回しにしたくなる気持ちも理解できないわけではありません。

また、前述のとおり、離婚後も離婚が成立した日から2年間は財産分与請求権を行使すること(財産分与について話し合いを行うこと)は可能です。

しかし、離婚後は離婚前と異なり、元夫婦同士が別居していることが通常でしょうから、個人で財産分与の証拠となる通帳などの書類を集めることが難しいです(なお、弁護士照会や裁判所の調査嘱託によって財産を明らかにすることは可能です)。

また、そもそも相手が今現在、どこに住んでいるのか分からず、連絡が取れなくなって話し合いすらできない、という事態にならないとも限りません。

そのため、財産分与については、可能な限り、離婚前に解決しておくことをお勧めしているのです。

除斥期間中に話がまとまらない場合は「財産分与請求調停」等を申し立てる

これまで申し上げてきたとおり、離婚後に財産分与の話し合いをする場合は、財産分与の除斥期間(離婚が成立した日から2年)に注意が必要です。

また、消滅時効と異なり、期間が延長される、リセットされることはありません

除斥期間中に話がまとまらない場合は、家庭裁判所に対して「財産分与請求調停」を申し立てましょう

申立て先は、家庭裁判所は元夫婦間で取り決めがない限り、申し立てされる夫(又は妻)の住所地を管轄する家庭裁判所です。

一度調停を申し立てると、仮に、調停が行われている間に2年が経過しても、財産分与することは可能です。

また、調停を申し立てると、相手に財産を処分されてしまうことも考えられます。

そこで、相手に財産を処分されてしまわないために、財産分与調停を申し立てるとともに「財産処分禁止の審判前保全処分」も申し立てましょう

申し立てが認められると、相手は財産を勝手に処分することができなくなります。

加えて、事前対策としては、相手の通帳等(財産分与の対象となる財産の証拠)を写メするなどして証拠を集めておくことです。

除斥期間経過後も財産分与を行えるケース

除斥期間が経過した後も財産分与を行えるのは

  • 元夫婦同士が財産分与に合意した場合
  • 相手が財産を公表しなかった場合

です。

元夫婦同士が財産分与に合意した場合

除斥期間経過後も、、元夫婦同士が財産分与に合意するのであれば、財産分与を行うことは可能です。

除斥期間は、離婚が成立した日から2年間が経過すると財産分与請求権を消滅させる制度ではありますが、財産分与に関する合意を排除するものではないからです。

相手がすべての財産を公表しなかった場合

相手がすべての財産を公表しなかった場合は、他方の財産分与請求権を侵害したとして相手に損賠賠償責任を問うことができます。

つまり、厳密には財産分与でありませんが、本来、相手が財産を公表していたならば得られたはずであろう(失われた)利益を損害と見立て、その損害分を金銭で賠償させることができる、というわけです。

損害賠償請求権の消滅時効は、相手及び損害をしったときから3年です。

したがって、仮に除斥期間が経過していたとしても、相手がすべての財産を公表していないと知ったときから3年を経過していないのであれば、相手に金銭の支払いを請求することが可能です。

財産分与と慰謝料の違い

財産分与も慰謝料も相手から金銭を受け取ることができるという点では共通しています。しかし、両者は全く性質の異なるものです。

前述のとおり、財産分与は夫婦の財産を分け合うものです。

他方で、慰謝料は財産の有無にあっかわらず、精神的苦痛を負わせた側に賠償の責任を負わせるものです。

したがって、相手に財産分与の対象となるべき財産はないものの、慰謝料の支払いは求めるということは可能です。

また、財産分与は現物(不動産、車など)で給付を受けることも可能ですが、慰謝料は、慰謝料の支払いを受ける側が承諾しない限り、現金で受け取ることが原則です。

さらに、財産分与(請求権)は離婚が成立した日から2年で消滅しますが、離婚の慰謝料(損害賠償請求権)は、通常、離婚が成立した日から3年で消滅します。

以上のように、財産分与と慰謝料は全く別物です。

たとえば、財産分与請求権が消滅したからといって、慰謝料請求を諦める必要はありません

なお、前述した「慰謝料的財産分与」はあくまで財産分与の一種ですから、ここでいう慰謝料とは別物です。

また、慰謝料的財産分与を受けた場合は、二重取り防止の観点から、あらためて慰謝料請求することはできません。

まとめ

財産分与(請求権)は離婚が成立した日から2年で消滅します。財産分与については可能な限り、離婚前に解決しておくことをお勧めします。

仮に、離婚後に財産分与を行う場合は、可能な限り早い段階で、家庭裁判所に対して「財産分与請求調停」、「財産処分禁止の審判前保全処分」を申し立てましょう。

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