個人再生という手続きは、裁判所で行われる厳格な債務整理方法です。手続きが厳格である以上、条件を満たせない場合には個人再生が失敗することがあります。

個人再生が本来の債務整理の目的を達成できず、失敗してしまう原因にはつぎのようなものがあります。

  • 申し立ての却下
  • 個人再生の廃止
  • 再生計画案の不認可
  • 再生計画の取り消し

今回こちらでは、個人再生の「廃止」に関してご説明いたします。

なお、説明内容は基本的に小規模個人再生に関してのものとなります。実務上、利用されている個人再生の大多数が小規模個人再生であるという実情を考慮してのことですので、ご了承ください。

個人再生の「廃止」とは?

個人再生の申し立てが、裁判所によって却下されることなく受け付けられると、手続きの開始決定が行われます。これによって、個人再生はめでたく手続きが開始されることになります。

そして、この手続きが問題なく順調に進んでいき、終盤にさしかかるころになると再生計画案を裁判所に提出することになります。裁判所によって指定された期間内に再生計画案を提出し、これが裁判所によって認可されれば、基本的には個人再生の手続きはほぼ終了することになります。

しかし、裁判所によって再生計画案が認可されるまでの間に、何らかの問題が発生し手続きが中止されてしまうことがあります。これを「廃止」といいます。

個人再生手続きが廃止された場合の効果

個人再生の手続きが廃止された場合、個人再生はその目的を達成しない状態のまま、手続きが将来に向かって終了することになります。

つまり、借金問題解決のために申し立てた個人再生が、失敗に終わるということです。当然、借金問題は未解決のまま残ってしまうことになります。

個人再生の6つの廃止事由とは?

個人再生では、法律で定められている事由に該当する事実が申立人にある場合には、手続きが中止(廃止)されてしまいます。これを「廃止事由」といいます。

小規模個人再生の場合、廃止事由は主に6つ定められています。

ここでは便宜上、民事再生法第191条と同法第237条をまとめてご説明します。

つぎのような事由があるときに、手続きは中止となります。

①決議するに足りる再生計画案の作成の見込みがないことが明らかな場合

簡単に言えば、しっかりした内容の再生計画案が作成される見込みがないことが、明らかとなった場合のことです(民事再生法第191条第1号)。

つまり手続き開始後、法律の条件を備えた再生計画案が作成される可能性がないことが裁判所に判明した場合、手続きは中止となります。

②再生計画案提出期間内に再生計画案の提出がない場合、あるいは提出された再生計画案が決議するに足りない場合

簡単に言うと、しっかりした内容の再生計画案が裁判所の定める期限内に提出されない場合のことです。または、期間内に再生計画案を提出したとしても、その内容が法律の条件をクリアーしていないものであった場合です(民事再生法第191条第2号)。

これらの場合には、再生手続きは中止されることになります。

③債権届出期間の経過後再生計画認可の決定の確定前において、再生手続開始事由が存在しないことが明らかになった場合

これは、個人再生を申し立てた債務者が、実は借金の返済を楽にすることができるほどの収入や財産があることが判明した場合などのことです(民事再生法第192条第1項)。。

本来、個人再生という手続きは、借金の返済に行き詰まり困り果ててしまっている人を救うための制度です。つまり、借金の返済に本当に困っている人以外は利用できない制度なのです

④個人再生申立人が、裁判所による業務および財産に関する保全命令に違反した場合、又は裁判所の許可を得ずに財産の処分や借金をしたり、営業を譲渡した場合

個人再生を申し立てた人が事業を営んでいるなど、一定の事情がある場合には、裁判所によりその財産等の処分が制限されることがあります。

この制限を破った場合、個人再生手続きは中止されることになります(民事再生法第193条第1項)。

⑤多数の債権者によって再生計画案が不同意とされた場合

これは簡単に言うと、再生計画案が債権者によって否決された場合のことです(民事再生法第237条第1項)。

小規模個人再生の場合には、再生計画案は裁判所に認可される前に、債権者による書面決議によって可決される必要があります。

この際に、債権者によって再生計画案が否決された場合には、個人再生の手続きは中止されることになります。

再生計画案が否決される場合とは?

再生計画案が否決される条件を細かく言うと、つぎのようになります。

再生計画案の決議に際して、議決権を有する債権者で「再生計画案に同意しない」とした者が、議決権者総数の頭数の半数以上である場合又はその議決権額が議決権総額の2分の1を超える場合です。

⑥債務者が財産目録に記載すべき財産を記載せず、又は不正の記載をした場合

簡単に言えば、「財産隠し」が裁判所に発覚した場合のことです(民事再生法第237条第2項)。

財産隠しの行為が発覚した場合、個人再生手続きは中止されることになりますが、事態はそれだけでは済みません。

つぎのような重大な結果を引き起こすこともあり得ます。

財産隠しが発覚した場合

冒頭でも述べましたが、個人再生が失敗する原因には全部で4つありましたね。「却下」「廃止」「不認可」「取り消し」です。

実は財産隠しという行為は、これらすべての原因となる行為なのです。

財産隠しという行為は、法律上「詐欺再生罪」(民事再生法 第255条)という犯罪に該当する可能性のある重大な違法行為です。

決して、このような行為だけはしないように気を付けてください。

廃止された場合、破産になることも!

個人再生手続きが何らかの原因によって廃止された場合、状況によっては手続きが、個人再生から自己破産に移行することがあります。

「個人再生には適さないけれど、破産原因あり」と裁判所が判断した場合には、裁断所は職権で破産手続きを開始することができる、ということです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、個人再生手続きの「廃止」についてご説明しました。

個人再生手続きが廃止されてしまうと、せっかく始まった手続きは終了してしまいます。結果として、借金問題がまったく解決できないことになります。

そうならないようにするためにも、ご自分の事情の中に廃止事由に該当するものがないかどうか、事前によく確認してください。

そうすることで、個人再生が途中で廃止になってしまう可能性を、かなり下げることができるはずです。

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