面会交流調停の流れや面会交流を制限されるケースなどを詳しく解説

面会交流調停は面会交流を相手方にさせるかどうか、させるとしていかなる条件でさせるのかについて取り決める手続の一つです。面会交流について夫婦間で話がまとまらない場合、まずはこの手続きを使って、面会交流について取り決める必要があります。とはいっても、この記事をご覧の多くの方が、調停って何?どんな流れで進んでいくの?という疑問をお持ちではないでしょうか?

そこで、この記事では、

  • 面会交流調停の流れ
  • 面会交流が制限されるケース
  • 相手方が面会交流の条件を守らなかった場合の対処法

などについて弁護士が詳しく解説してまいります。

ぜひ最後までお読みいただき、これから面会交流調停を申し立てる際の参考としていただけると幸いです。

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1.子と別居する際は面会交流に関する条件を取り決めよう

離婚などによって、子と親が離れ離れに暮らすようになる際は、子と親権を持たない親、子と同居しない親との間の面会交流に関する条件について具体的に取り決める必要があります。具体的には、

  • ☑ そもそも面会交流を行うかどうか
  • ☑ 面会交流を行うとして・・・・・・・・・
    • 面会交流の頻度(月1回、隔週に1回など)
    • 面会交流の日時
    • 面会交流の場所
    • 面会交流の方法
    • 面会交流以外での連絡方法

などです。

このうち「面会交流の方法」についてはさらに詳しく取り決める必要があります。すなわち、

  • ☑  子と直接会わせるのかどうか、あるいは、電話・手紙・プレゼントのやり取りで済ますのかどうか
  • ☑  子と直接会わせるとして、事前の調整方法、子の引渡し方法をどうするのか?すなわち、
    • 夫婦間で直接連絡を取り合うのか、第三者に委ねるのか
    • 夫婦間で直接連絡を取り合うとして、子を夫婦間で引き渡すのか、第三者に委ねるのか

などについて詳細に取り決める必要があります。

2.面空交流に関する条件の決め方は「協議→調停」

面会交流に関する条件の決め方はまずは協議、すなわち話し合いによります。そして、話し合いで条件がまとまらなかった場合に調停、すなわち裁判手続へと移行します。なお、民法766条では離婚の際には協議、調停で面会交流に関して取り決めなければならない旨を規定されています。

(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)

第766条
1.父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定めるこの場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない

2.前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、w:家庭裁判所が、同項の事項を定める

3.面会交流に関する調停の申し立て、流れなど

それでは、協議で面会交流に関する話がまとまらず、調停に移行しなければならなくなった場合の申し立ての方法や調停の流れなどについて解説いたします。

⑴ 面会交流調停(子の監護に関する処分調停事件)の申し立てを行う

調停を行うには「面会交流調停の申立書」という書式を用いて家庭裁判所に対して申し立てを行う必要があります。書式はインターネットからダウンロードすることができます。
面会交流申立書ダウンロード
面会交流申立書記入例

申立書に収入印紙を貼り、郵便切手代(おおよそ1,000円前後)をもって、開庁時間内に家庭裁判所へ出向き提出しましょう。申し立てを行う際は以下の点に留意しましょう。

① 申立書の書き方

ア 申立人と相手方の氏名、住所等を正確に書く

裁判所から通知を行う必要があるため、相手方の氏名、住所を正確に把握し記載します。

イ 未成年者(子)の氏名等を書く

ここで記載しなければならないのは、面会交流を求めたい未成年者の氏名等です。

ウ 申し立ての趣旨を書く

面会交流に関する調停(又は審判)を求める旨を記載します。チェック方式により簡単に記載できるようになっています。

エ 申し立ての理由を書く

なぜ、申し立てするのか(申立人と相手方との関係、未成年者の監護養育状況、面会交流の取り決め、面会交流の実施状況、本申立てを必要とする理由)を記載します。ここも一部チェック方式により簡単に記載できるようになっています。年月日が分からない場合は、申立書を提出する家庭裁判所にどうすべきか、一度電話して確認しましょう。

② 申し立てをするタイミング

離婚成立前後を問わず可

③ 申し立てできる人(申立人)

④ 申立先の家庭裁判所

  • 相手方の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 父、母が合意で定めた家庭裁判所

⑤ 申し立てに必要なもの

  • ☑ 面会交流調停の申立書及びその写し(コピー)
  • ☑ 未成年者の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
  • ☑ 収入印紙(※未成年者1人につき1,200円、※面会交流調停の申立書に貼り付けます)
  • ☑ 連絡用の郵便切手代(※おおよそ1,000円前後。代金は裁判所により異なります。)
  • ☑ その他、必要に応じて家庭裁判所から追加で提出を求められるもの

⑵ 申し立て後の調停の流れ

調停の流れは以下の「面会交流の流れの図」に沿って説明します。

面会交流調停の流れの図

①家庭裁判所に「面会交流調停の申立書」等を提出後、②呼び出し状が送達される

家庭裁判所に「面会交流調停の申立書」等の書類を提出します。

書類提出後、約2週間前後で、申し立てをした家庭裁判所から呼出状が送達されてきます。呼出状は相手方にも送達されてきます。

③家庭裁判所調査官による調査

呼出状には出廷すべき家庭裁判所、日時(第1回調停期日は申し立てから約1か月後)等が記載されていますから、記載されているとおりに出廷しましょう。どうしても都合がつかない場合は、あらかじめ家庭裁判所へ連絡して調整しましょう。

他方、家庭裁判所は、呼出状の送達後第1回調停期日前、あるいは調停を開いた後必要と認めた場合に、家庭裁判所調査官(以下、調査官といいます)に対して、面会交流を認めることが適当か否か、いかなる条件で面会交流を認めるかなどを判断するための調査(事実の調査)を命じることがあります。

調査官が調査した結果は「調査報告書」という書類にまとめられます。そして、「調査報告書」は裁判所に提出され、裁判官や調停委員との間で情報が共有されます。この調査を通じて面会交流を認めることが不適当であることが明らかとなった場合は、家庭裁判所から申し立ての取り下げを勧められることがあります。仮に、申し立てを取り下げた場合、調停は終了です。

④家庭裁判所へ出廷

呼出状に基づき家庭裁判所へ出廷した場合、申立人と相手方は別々の部屋で待機します。そして、調停委員(※)から呼び出しを受け、待機室とは別の部屋で面会交流に関する希望などを聴かれます。また、調停委員は相手方からも同じように話を聴きます。調停委員からは相手方の希望を伝えられますし、申立人の希望も相手方に伝えられます。このようにして申立人と相手方は面会交流の条件に関して合意を形成していきます。

※調停委員
面会交流調停の手続きを進めていく上で適任だとして裁判所から選ばれた人。一定程度の社会経験と専門知識を兼ね備えた人が適任だと考えられますから、年齢は原則として40歳以上70歳未満の人で、弁護士、大学教授などの職に就いている方が選ばれることが多いです。

また、調停期日中には、前述した調査官の調査のほかに、調査の一環として、申立人と子との試行的面会交流(面会交流を認めることが適当か否かを判断するための面会交流のテスト)が実施されることもあります。調査官は調停委員が特に必要と認めたときは調停期日に立ち会い、調査を通じて築いた意見を調停委員に対して述べることができます。裁判官や調停委員は、調査官の意見を重要視する傾向にあるため、調査官の調査に対する対応の仕方は極めて重要です。1回の調停期日にかかる時間は2時間程度です。調停期日は月1回、合計で平均的に3回~5回ほど開かれますが、ケースによってはそれ以上開かれる場合もあります。

⑤調停成立 or ⑥調停不成立

調査官の調査や調停期日で当事者から聴いた話などから、面会交流を制限すべき理由が認められない場合には面会交流を認める方向で調停が進められます。そして、申立人、相手方双方が互いに条件につき譲歩しあいながら合意に達した場合には、調停委員会で「調停成立」が宣言され、調停が成立したことが確認されます。そして、宣言から数日後、合意内容が「調停調書」という書類に記載された時点で正式に「調停成立」となります

他方で、面会交流の条件につき合意に達しない場合(あるいは相手方が調停期日に出廷せず話し合いができない場合)は「調停不成立」となります。調停不成立となった場合、手続きは自動的に「審判」へと移行します。審判の特徴は、調停と異なり、当事者間の話し合いではなく、あくまで当事者の主張をベースとして裁判所が面会交流の条件について決めるという点です。

4.面会交流を制限されるケース

面会交流は親の権利ではありますが、無制約に認められるというわけではありません。権利といえども一定の制約にかかります。また、面会交流は子の利益のためにもあるのです。したがって、親の権利として保護すべきではない場合のほか、面会交流を認めることが子の利益のためにならないと認められるケースでは、面会交流自体を制限されることがあります。具体的には以下のケースです。

⑴ 同居時、子に対して虐待を加えていた

過去に、子に対して暴力を振るう、暴言を吐く、わいせつな行為をする、ネグレクト(放置)、無視するなどの虐待を加えていたなどの経歴を有する場合です。なお、配偶者に対するDVの経歴があるからといって直ちに面会交流が制限されるわけではありませんが、DVが子に悪影響を与えており、子が面会交流を拒否する場合は制限されることとなるでしょう。

⑵ 精神的に不安定、子に悪影響・害悪を与えるおそれがある

申立人がアルコール、薬物、病による影響で精神的に不安定な場合、子に危害を加える、犯罪に巻き込むおそれがある場合などです。

⑶ 調停中、不誠実な態度をとる

相手方に「毎日会いたい」など無理な条件を突きつける、決められた調停期日に理由もなく出廷しない、調査官の調査に非協力的、感情的になって裁判官や調停委員に食ってかかる態度をとるなどです。

⑷ 子が面会を拒否している

子が本当に面会交流を拒否しているかどうかは調査官の調査によって慎重に見極められています。もっとも、子が12歳を超えてくると子の意思が尊重されはじめ、子が高校生以上となると、ほとんどの場合、子の意思しだいで面会交流を実施するかどうかが決まります。

5.相手方が面会交流の条件を守らなかった場合の対処法

調停が成立しても相手方が調停で合意した条件を守ってくれない、面会交流をさせてくれない、という事態へと発展することも考えられます。そうした場合の取るべき対処法を以下でご紹介いたします。

⑴ 家庭裁判所に履行勧告してもらう

履行勧告とは、家庭裁判所から相手方に対して「調停で取り決めた条件を守ってください、面会交流させてください。」と文書で通知することです。家庭裁判所に履行勧告してもらうには、家庭裁判所に対して申出を行う必要があります。申出に必要な書類は以下のとおりです。

【履行勧告の申出に必要な書類】

申出に費用はかかりません。また、裁判所の履行勧告ということで、相手方には「従わなければ何かされるのではないか」と思わせ、面会交流を実現できるというメリットがあります。他方で、履行勧告には強制力がありません。つまり、履行勧告はあくまで相手方の「協力(任意)」によって得面会交流を実現させるもので、強制的に実現させるものではありません。

⑵ 家庭裁判所に間接強制命令を出してもらう

家庭裁判所に履行勧告してもらっても面会交流を実現できない場合は、家庭裁判所に間接強制命令を出してもらいます。間接強制命令とは、相手方に対して「一定期間の間に面会交流をさせない場合は、申立人に対して●円を払え。」という金銭の支払いを命じる命令です。会交流を拒否する相手方に金銭の支払いという心理的プレッシャーを与えて、結果として、面会交流を強制的に実現させようというのが間接強制命令の趣旨です。家庭裁判所に間接強制命令を出してもらうには、家庭裁判所に対して間接強制の申し立てを行う必要があります。申し立てに必要なものは以下のとおりです。

【間接強制の申し立てに必要なもの】

  • ☑ 間接強制の申立書(※インターネットからダウンロード可能)
  • ☑ 調停調書謄本のコピー
  • ☑ 2,000円分の収入印紙
  • ☑ 連絡用の郵便切手(※金額の詳細は申し立て先の家庭裁判所へお尋ねください)

もっとも、家庭裁判所から相手方に間接強制命令が出されたからといって、相手方がそれに従って金銭を支払ってくれる保障はありません。仮に、相手方が金銭を支払わない場合は、間接強制とは別に相手方の財産(給与債権など)を差し押さえる強制執行の手続きを取る必要があります

⑶ 慰謝料請求する

面会交流を拒否され続けることにより精神的苦痛(損害)を被った、という場合は、この苦痛の程度を金銭に評価しなおした慰謝料を相手方に請求することも検討しましょう。請求が認められるには、一度や二度の拒否では足りず、一定期間拒否し続けられた、という事実が必要です。

裁判外での請求は、書面(内容証明)で行うのが一般的です。また、相手方の態度しだいでは直ちに訴訟提起する(裁判上の請求をする)ことも可能です。慰謝料請求することにより相手方が面会交流に応じる可能性もありますが、反対に態度を硬化させてしまう可能性もあります。慰謝料請求しても、面会交流を実現できるとは限りませんから、慰謝料請求するかどうかは慎重に検討する必要があります

6.まとめ

面会交流調停は、家庭裁判所に対して申し立てを行うことから始まります。しかし、申し立てをしたとしても、調査官、調停委員、裁判官に与える印象が悪い場合には、申し立ての取下げを勧められる、面会交流自体を制限される場合があります。申し立てをしたからといって、必ず面会交流が認められるわけではありませんので注意が必要です。

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