例えば、貸したお金の弁済がなく、時効期間が経過してしまいそうという理由で、支払督促を行う場合があります。あるいは逆に、突然支払督促がご自宅に到着した場合、消滅時効を援用するという手段があります。

支払督促によって時効を中断させるには適切な手続きが必要です。また消滅時効の援用は相手方に主張しないと意味がありません。

本稿は時効制度について簡単に紹介しつつ、前半は債権者側が時効中断をするための手続について紹介を行い、後半は債務者が支払督促において消滅時効を援用する方法について紹介をしていきます。

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前半戦|債権者必見!支払督促による時効の中断の方法とは?

支払督促によって時効の中断をするには、簡易裁判所に支払督促の申立てを行う必要があります。

相手方に適切な「請求」を行うことで時効を中断させることができますが、その内容は法律で規定されています。支払督促は「法律上の請求」に含まれる手続ですが、単純に支払督促を申立てた場合だけでは、時効中断の効力は完全ではありません。具体的には仮執行の宣言を申立てる必要があります。

以下に簡単に法律に規定されている、法律上の請求について記載します。

<法律上請求にあたるもの>

①裁判上の請求

※裁判所に時効を中断させたい債権に関わる訴えを提起することを“裁判上の請求”と言います。

②支払督促

③和解及び調停の申立て

④破産手続参加等

⑤催告

※ただし、催告は完全な法律上の請求ではないので、催告より6ヵ月以内に①~④の手続を行う必要があります。

上記のとおりです。本稿はこの中でも支払督促による時効中断に焦点をあてて説明をしていきます。

【補足:用語解説】

時効の中断:時効の中断とは、債権には権利を主張できる期間に期限がありますが、この期間の進行をリセットして、債権を消滅させないことを言います。

時効の援用:時効の援用とは、債務者から主張される債権者に対する対抗手段で、債権者に対して債権が時効により消滅していることを主張(援用)することを言います。

時効の中断にはまずは支払督促の申立てを行う

債権には消滅時効があり、そのまま放置してしまうと債権が消えてしまいます。

そこで、前項でもご紹介しましたが、“支払督促”の申立てを簡易裁判所に行うことによって、時効を中断させることができます。

時効の中断について再度ふれますと、時効の中断の意味とは「債権が効力をもっている期間を新たに更新すること」です。つまり、具体的な支払督促の手続に即して言うと、支払督促の手続を完了させることによって、支払督促の申立書を裁判所に提出したときに、時効中断の効力が生じます。

支払督促の申立て方法とは?

支払督促の申立ては簡易裁判所の書記官に申立書を提出することによって行います。

申立てには、相手方に請求する金額に応じた手数料の納付、及び連絡用の切手の納付が必要です。

簡易裁判所の書記官が提出された申立書の内容を確認し、不備がなければ手続が進行して行きます。

いつまでに支払督促の申立てをすればよいのか?

支払督促の申立ては、その債権の時効がくる以前までに申立てる必要があります。

ここで、債権の一般的な時効は10年ということを頭に入れて下さい。

例として貸金債権を例にとると、他人にお金を貸した場合には、返済期限より10年以内に支払督促を申立てないと、時効によって債権が消滅してしまいます。

“10年以内”とは、支払督促の申立書を簡易裁判所に提出したときが、10年以内の日である必要があります。細かいようですが、この“いつまで”ということがとても重要で、もし期限を過ぎてしまっている場合には、最早債権が消滅してしまい、時効の進行を中断させtることはできません。

お金を貸してから10年近く経過している場合には、出来るだけ早く支払督促の手続きを行うようにして下さい。また同様に他の債権、例えば賃料、売買代金、過払い金等も同様に時効期間は10年ですので、10年が経過する前に時効を中断させる必要があります。

ただし、会社での取引で発生した債権の場合、消滅時効は5年となるのでとくに注意が必要です。

過払い金の返還請求を支払督促で申立てる場合はいつまでか?

貸金業法が改正される以前(平成22年6月18日施行)に、クレジットカードまたはサラ金業者からお金を借りていた場合、過払い金が発生している可能性があります。

過払い金の消滅時効は、“最後の弁済のとき”から10年間です(最高裁判所判決平成21年1月22日民集63-1-247)。

したがって、最後の弁済のときから10年以内に支払督促の申立てを行えば、消滅時効の進行を中断させることができます。

なお、貸金業者側の行う金銭の融資は、商行為に当たるので消滅時効が最後の取引から5年間であるのと混同しないで下さい。

支払督促を出しただけでは時効は中断しない?

支払督促は裁判上の「請求」にあたることは既に説明をしました。

しかし、法律上、支払督促を出しただけでは、時効中断の効果は発生しません。

時効中断の効果を発生させるためには、“仮執行宣言の申立て”を行う必要があります。

支払督促を相手方に送付する手続を“送達”と呼びますが、仮執行宣言の申立ては、この送達されたときから30日以内に行う必要があります(民事訴訟法392条参照)。

この仮執行の宣言を申立てることによって時効中断の効力が生じます(民法150条)。

仮執行宣言の申立て方法とは?

仮執行宣言の申立て方法は、支払督促の際と同様です。

仮執行の宣言を申立てることができるのは、相手方に支払督促が送達されてから2週間を経過したときです。2週間という期間が経過しないと、仮執行の宣言を申立てることができないので、ご注意ください。

仮執行の宣言を申立てる旨の申立書を、簡易裁判所に提出し、郵便切手1,110円分を納付します。

再度郵便切手を納付するのは、手続上、再度相手方に仮執行宣言付の支払督促を送達する必要があるためです。

なお、あらためて支払督促に関する手数料を納付する必要はありません。

参考:裁判所HP|申立に必要な書類等

督促異議があって仮執行の宣言を申立て出来ない場合はどうなるのか?

支払督促が相手方に送達されてから2週間以内に、相手方から督促異議が提出された場合には、仮執行の宣言を申立てることはできません(民事訴訟法391条1項参照)。

督促異議が申立てられて、仮執行の宣言ができないときは、そのままでは完全な時効中断の効力は生じません。催告としての効力が生じるのみです。

そこで、この場合時効中断の効力を生じさせるには、支払督促手続から裁判手続に移行する必要があります。

支払督促の手続中に時効は完成しないのか?

ひとつの疑問として、「支払督促の手続中に時効が完成してしまうことはないのか?」というものが考えられます。

前項でも説明をしましたが、時効中断の効力は支払督促の手続が完了しないと生じません。そうすると、途中で支払督促を取り下げた場合、支払督促の手続中に時効期間が進行して債権が消滅してしまうのではないかという疑問が生じます。

しかし判例によると、支払督促の手続中は時効の進行はせず、消滅時効にかからないとされています。

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相手から消滅時効の援用を主張されたらどうすればよいのか?

支払督促を相手方に送達した場合、逆に相手から消滅時効を主張される場合があります。

相手方が消滅時効を主張した場合には、“どういう形式で異議を唱えているのか”をまずは確認してみて下さい。

相手方の反論の形式として、手紙等の書面で消滅時効を主張しているときには、とくに支払督促の手続に影響はありません。例えば仮執行宣言前であれば、そのまま相手方に支払督促が送達されてから2週間を経過してから、仮執行宣言の申立てをすることができます。

一方で相手方からの反論の形式として、“督促異議”によって主張がされている場合には、そのまま裁判へ移行して争うのか、または支払督促を取り下げるのかの選択を行います。

督促異議とは、支払督促手続における法律上の反論方法を言います。相手方が督促異議を主張できるのは、全部で2回あり、支払督促の送達を受けたときと、仮執行宣言付支払督促の送達を受けたときです。

なお、支払督促を一旦取り下げた場合、6ヵ月以内に再度、訴訟手続等の法律上の請求を行わないと、消滅時効の期間が経過してしまう場合があります。

裁判へ移行した場合の時効の中断はどうなるのか?

相手方が適切に支払督促に対して督促異議を申立てた場合、裁判へ移行します。この場合の時効中断の効力は、あくまでも支払督促を申立てたときに生じています。したがって、督促異議があって裁判に移行するあいだに消滅時効が完成してしまうことはありません。

また、支払督促から裁判への手続中の場合は、消滅時効は進行しません。

支払督促を途中で取り下げた場合はどうなるのか?

支払督促を途中で取り下げた場合には、仮執行宣言の申立てを既にしている場合を除いて、「催告」という不完全な時効中断の効力が生じます。

「催告」の場合、不完全な時効中断の効力しか発生しないので、前述のとおり6ヵ月以内にあらためて裁判手続等を行わないと、時効中断の効力が維持できません。

要するに、途中で支払督促を取り下げた場合、そのまま裁判手続等を行わないと、なにも請求していなかったことと同じになります。そうなると、結果として消滅時効の期限が到来してしまい、債権の効力が消滅してしまいます。

後半戦|債務者必見!支払督促がきた場合の時効援用とは?

今までの説明とは逆に債務者側に債権者から支払督促がきた場合には、どうすればよいのでしょうか。

こうした場合、その債務を負担したのが10年以上前であった場合には、消滅時効を主張して、債務を免れる方法があります。これが“時効の援用”です。

再度“時効の援用”について触れると、債務者が負担する債務について、既に時効により消滅していることを債権者に主張することを言います。主張のやり方にとくに形式はなく、口頭でも文書でも時効を援用する旨を債権者に主張すれば、援用することができます。

実務的には、内容証明郵便等の書面で時効の援用を主張するのが一般的です。

なお一般的には、支払督促がきた場合には、督促異議という手続で時効の援用を行います。

支払督促が送達された場合には、まずはあせらず相手方(債権者)の主張する債権が消滅時効にかかっていないかどうか確認を行うようにして下さい。

消滅時効の時効期間について

債権者側が時効の援用をいつまでにすればよいのかというところで簡単に触れました。

あらためて、消滅時効の期間について説明を行います。

一般に債権の消滅時効は10年間で消滅します。しかし、銀行・サラ金・クレジット会社等の金融機関が、事業で金銭を貸し出した場合には、商行為として消滅時効は5年に短縮されます(商法522条)。商行為の場合、一般の場合と比べてより短期に権利関係が確定するのが望ましいと考えられるためです。

消滅時効の援用をするための督促異議の申立て方法とは?

消滅時効を援用するための督促異議の申立ては、支払督促を発した簡易裁判所に対して、督促異議申立書を提出することによって行います。

一般的には、支払督促の送達された封筒の中に。“定型督促異議申立書用紙”が同封されているので、こちらを利用します。

なお、督促異議の申立てには申立手数料は不要ですが、実務上は連絡用の切手代として、1,110円分の切手を納める場合が多いです。

消滅時効を援用する旨を督促異議の用紙に記載することによって、時効の援用を行うことができます。

参考:裁判所|支払督促に異議がある場合

なぜ請求異議で消滅時効を援用するのか?

消滅時効の援用のやり方に制限はありません。しかし、一般に支払督促がきた場合に消滅時効を援用するには、督促異議によって主張します。

その理由は、支払督促がきた場合の対抗手段としては、簡易裁判所に督促異議を出すということが基本となるからです。督促異議とは、支払督促によって主張されている相手方(債権者)の債権が弁済や時効によって消滅していることを、簡易裁判所の裁判所書記官に申立てを行うことを言います。

督促異議を出すと訴訟手続に移行しますが、債権者側としては債務者の消滅時効の援用の主張があった場合、裁判で消滅時効に至っているかどうか争うことになります。

しかし、一般には誰からみても消滅時効の期間が経過しているとわかる場合には、相手方(債権者)が支払督促を取り下げる可能性が高くなります。

したがって、債務者が消滅時効を主張できる場合には、まずは督促異議で反論するのが有効な手段となります。

注意点!仮執行宣言前に消滅時効を援用する

債務者において債務が時効によって消滅していることを、督促異議を主張できるタイミングは全部で2回あります。

1回目は初めに支払督促が送達されてから2週間以内のときです。

2回目は初めの支払督促が送達されてきた後、これとは別に仮執行宣言付支払督促が送達されてきてから2週間以内のときです。

この2回目の送達のときに、初めて督促異議を主張すると、既に仮執行宣言と呼ばれるものが付いているので、相手方(債権者)は強制執行を行うことができます。

要するに、2回目の送達の時には、債務者の財産を仮差押することができてしまうので、最初の1回目の送達のときに、債務が時効によって消滅していることを理由として、督促異議を申立てるべきだと言えます。

なお、この2回目の送達があったときから2週間以内に督促異議を出さないと、支払督促が確定してしまうので、絶対に放置はしないでください。

債務を「承認した」と反論されてしまう危険とは?

支払督促が送達された場合に限定されず、債権者から消滅時効にかかりそうな債務について、支払を求められた場合は注意が必要です。

その注意とは、“本当に消滅時効によってその債務が消滅しているかどうか?”についてです。債権が時効によって消滅しているかどうかをよく確認しないで、消滅時効を援用してしまうと、逆に債権の存在を認めていると相手に反論される場合があります。

この場合、消滅時効の援用が=「債務の承認」となってしまう危険があります。

不安な場合には、消滅時効の援用について主張する前に一旦、弁護士等の専門家に相談するのも一つの選択肢です。

支払督促の時効の中断について相談したいときにはどうすればよいのか?

前項でも少し触れましたが、時効の中断についてもし疑問点があれば、お近くの弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。

今まで説明してきたとおり、支払督促での時効の中断について、関わりがあるのは、債権者側と債務者側の双方あります。

消滅時効にかかっているのかどうかについて判断は、意外とやっかいなものです。債権が発生してから、または、他人から譲り受けた債権について、相当期間が経過している場合には、早急に時効を中断させる必要が出てきます。

なるべく早期に専門家に相談することが望ましいでしょう。

まとめ

債権は放置しておくと、時効によって消滅してしまいます。逆に時効によって債権が消滅していることは、相手方に主張しないと意味がありません。

支払督促を申立てた場合でも、債務者から時効によって消滅していると反論される場合があります。

本稿をお読みいただき、時効制度を簡単にご理解いただくことで、支払督促制度をうまく活用いただければ幸いです。

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