ある人が死亡した場合、その人の子供や親・配偶者などが相続人となるときには、遺留分が認められることになります。
「遺留分(いりゅうぶん)」とは、被相続人(故人)でも侵害することのできない各相続人に認められる相続財産の割合のことを言います。

この遺留分が侵害された場合、侵害されている相続人には「遺留分侵害額請求権」が認められます。

今回は、この「遺留分侵害額請求権」について解説させていただきます。

この記事をお読みいただくことで……

  • 「遺留分侵害額請求権とは、どんな権利なのか?」
  • 「遺留分侵害額請求権は誰に認められるのか?」
  • 「実際に権利を行使する手順とは?」
  • 「相手が応じてくれない場合の対処法とは?」

などについて、知っていただくことができます。

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この記事の目次

1.遺留分侵害額請求権とは?

みなさんは「遺留分侵害額請求権(いりゅうぶんしんがいせいきゅうけん)」という言葉をご存じでしょうか?
おそらく、ほとんどの方にとって馴染みのない言葉だと思います。

それもそのはず、遺留分侵害額請求権は相続法の改正によって2019年7月に新設された権利だからです。
遺留分が侵害された場合、これまでは「遺留分減殺請求権」が認められていましたが、今回の法改正によって「遺留分侵害額請求権」に変更されたのです。

「遺留分」とは?|特定の相続人に保障された権利

「遺留分」とは、民法の定める相続人中、兄弟姉妹以外の者に認められる権利です。
民法では、相続人に第1位から第3位まで順位を定め、それぞれに相続分(相続できる財産の割合)や遺留分を定めています。

  1. 第1位:子供(直系卑属)
  2. 第2位:親(直系尊属)
  3. 第3位:兄弟姉妹

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者はかならず相続人となります(民法890条)。
なお、相続において先順位の相続人が1人でもいる場合には、その順位以降の者にはいっさい相続権が認められません。

ある人の相続に関して、被相続人(故人)の子供や親および配偶者が相続人となる場合には、相続人に遺留分が認められることになります。

なお、相続権が認められない場合でも、被相続人の生前に療養看護に努めた場合などには「特別寄与料」が認められることがあります。

2.遺留分侵害額請求権を理解する2つのポイント

遺留分侵害額請求権を理解するためには、2つのポイントを押さえることが大切です。

  • ①相続人が子供・親・配偶者であること
  • ②相続人が遺留分を侵害されていること

この2つの条件を満たしている場合、その相続人には相手方に対して、遺留分の侵害額に相当する金銭の支払いを請求できることになります。

上記2つの条件について、順を追って見ていくことにしましょう。

①相続人が子供・親・配偶者であること

遺留分侵害額請求権が認められるためには、前提として相続人に遺留分が認められる必要があります。
民法では1042条において、兄弟姉妹以外の相続人について遺留分を認めています。

つまり、ある相続における相続人が、被相続人の子供(直系卑属)・親(直系尊属)・配偶者の場合に限って遺留分が認められることになります。
兄弟姉妹が相続人となる場合、遺留分はいっさい認められませんので注意が必要です。
兄弟姉妹と被相続人の配偶者が相続人となる場合、配偶者には遺留分が認められますが、兄弟姉妹には認められません。

子供(直系卑属)について

民法上、被相続人の子供など直系卑属(ちょっけいひぞく)には、第1順位の相続権が認められます。
「直系卑属」とは、被相続人の子供や孫、ひ孫などのことです。

相続開始時点で、被相続人の子供がすでに死亡している場合、子供には相続権が認められないのが原則です。
しかし、子供に子供(被相続人の孫)がいる場合には、代襲相続権が認められるため被相続人の孫が相続人となることができます。
この場合、被相続人の孫には遺留分も認められます。

なお、代襲相続の詳細に関しては、以下の記事を参照してください。

親(直系尊属)について

被相続人の親(直系尊属)には、第2順位の相続権が認められます。
「直系尊属(ちょっけいそんぞく)」とは、被相続人の親や祖父母などのことです。

相続開始時点において、被相続人の親と祖父母などが生存している場合には、被相続人の親のみが相続人となります。
しかし、相続開始時点で被相続人の親が両方とも死亡しており、祖父母などが生存している場合には祖父母に相続権が認められます。
祖父母などが相続人となる場合、相続権が認められるだけでなく遺留分も認められることになります。

配偶者について

配偶者とは、被相続人の妻または夫のことを言います。
相続人には順位が定められていますが、どの順位で相続が行われる場合でも、被相続人の配偶者には相続権が認められます。

ただし、配偶者として相続権が認められるためには、被相続人と配偶者が法律上有効な婚姻関係にあることが必要です。
そのため、婚姻届を出していない事実上の夫婦関係(内縁関係)の場合には、たとえ当事者のどちらかが死亡しても相続人となることができません。
内縁関係では相続権が認められないため、遺産を貰いたい場合には遺贈などを受けることを検討する必要があります。

また、配偶者として相続権が認められるためには、相続開始時点において法律上有効な夫婦関係にあることが必要です。
このため、すでに離婚してしまっている場合には、元妻や元夫には相続権が認められません。

兄弟姉妹について

被相続人の兄弟姉妹には、遺留分がいっさい認められません。
このため、もし被相続人が相続財産すべてを第三者などに遺贈や贈与などした場合でも、兄弟姉妹には遺留分侵害額請求権を行使することができません。

相続の欠格・廃除の場合|遺留分も失う

遺留分が認められる相続人であっても、相続の欠格に該当したり相続の廃除を受けた場合には、その相続人は相続権だけでなく遺留分権も失うことになります。
ただし、その者に子供などの相続人がいる場合には、代襲相続することが認められます。

なお、相続を放棄した場合には、代襲相続も認められなくなるので注意が必要です。

②相続人が遺留分を侵害されていること

遺留分侵害額請求権が認められるためには、相続人の遺留分が侵害されていることが必要です。

兄弟姉妹以外の相続人には、それぞれつぎのように遺留分が定められています(民法1042条)。

相続人遺留分の割合
①子供(直系卑属)のみ2分の1(相続人が複数いる場合には、人数で等分)
②親(直系尊属)のみ3分の1(相続人が複数いる場合には、人数で等分)
③配偶者のみ2分の1
④子供と配偶者2分の1(子供・配偶者ともに4分の1)
⑤親と配偶者2分の1(うち、親は6分の1、配偶者は6分の2)
⑥兄弟姉妹と配偶者2分の1(配偶者にのみ遺留分が認められ、兄弟姉妹には遺留分なし)

侵害されている財産相当額を金銭で請求可能

遺留分を侵害する遺贈や贈与がある場合、従来の扱いでは遺留分を減殺する限度において、その財産自体の返還が必要とされました(「遺留分減殺請求権」)。
しかし、2019年7月1日から相続に関する改正法が施行されたことにより、遺留分を侵害する遺贈や贈与があった場合の扱いが変更されました。

遺留分を侵害する遺贈や贈与があった場合には、侵害する限度において、その財産に相当する金銭の返還を要することとなったのです。

3.遺留分の侵害となる2つの行為|「贈与」「遺贈」

遺留分侵害額請求権は、相続人に認められる遺留分が侵害されているときに行使することのできる権利です。
それでは、遺留分が侵害されるのは具体的にどのようなケースなのでしょうか?

遺留分が侵害される可能性があるのは、被相続人がつぎの2つに該当する行為をした場合です。

  • (1)贈与
  • (2)遺贈

それぞれ、順を追って確認しておきましょう。

(1)贈与

遺留分を侵害する可能性のある贈与には、その贈与がなされる時期によって2つの種類があります。「①生前贈与」と「②死因贈与」です。
さらに、相続人に対して行われた贈与の場合には、「③特別受益」が問題となります。
なお、贈与ではありませんが「④不当な対価による有償行為」についても遺留分侵害行為となる場合があります。

①生前贈与

被相続人が生前、財産を相続人または第三者に贈与(生前贈与)した場合、その贈与する財産の額によっては遺留分を侵害することになる可能性があります。
被相続人によってなされた生前贈与によって遺留分が侵害された場合、相続人には遺留分侵害額請求権の行使が認められます。

ただし、生前贈与が遺留分を侵害するとされるためには、その贈与が相続開始前1年以内に行われたことが必要です。
つまり、相続開始の1年以上前に行われた贈与は、たとえどれだけ遺留分を侵害していようとも遺留分侵害額請求権で取り戻すことはできないので注意が必要です。

しかし、相続開始の1年以上前に行われた贈与であっても、その贈与が遺留分を侵害するものであることを贈与者と受贈者が知っていた場合には遺留分侵害額請求権を行使することが認められます(民法1044条1項)。

②死因贈与

「死因贈与(しいんぞうよ)」とは、被相続人が死亡することを条件とした贈与契約のことです。
被相続人が死亡した場合、贈与契約の対象財産が受贈者に譲渡されることになります。

死因贈与によって譲渡される財産が相続人の遺留分を侵害する場合、相続人には遺留分侵害額請求権が認められます。

③特別受益

被相続人から贈与を受けた者が相続人である場合、特別受益(とくべつじゅえき)が問題となります。
相続開始前に、被相続人から何らかの財産を受けた相続人のことを「特別受益者」といいます。

特別受益が遺留分の侵害になるかどうかに関しては、相続法の改正により、つぎの2つのパターンに分けて考える必要がります。

2019年6月30日までに発生した相続の場合

被相続人の死亡日が2019年6月30日以前である場合、特別受益として与えられたすべての財産が遺留分侵害の対象とされる可能性があります。

2019年7月1日以降に発生した相続の場合

被相続人の死亡日が2019年7月1日以降の場合、特別受益として遺留分を侵害する贈与の対象とされるのは、相続開始前10年以内に行われたものに限定されることになります。

④不当な対価による有償行為

たとえ贈与ではなく、売買であったとしても一定の場合には、遺留分を侵害する行為となることがあります。
遺留分権利者に対して損害を与えることを知りながら、不当に安い価格で被相続人が財産を売却した場合、結果として相続人が損をすることになります。
このような行為があった場合、遺留分侵害額請求権行使の対象となることがあります。

(2)遺贈

「遺贈(いぞう)」とは、遺言によって行われる相続財産(遺産)の贈与のことです。
被相続人は遺言することによって、相続財産を自由に処分することが認められています。
遺贈の相手は相続人以外の第三者だけでなく、相続人に対して行うことも可能です。

ただし、正式な遺言による遺贈であったとしても、やはり遺留分を侵害することはできません。
各相続人に認められる遺留分を侵害する遺贈がある場合には、遺留分侵害額請求の対象となります。

遺留分を侵害する相続分の指定|「指定相続分」

被相続人が遺言によって相続人の相続分を指定している場合、各相続人は法定相続分ではなく相続人の指定した通りの割合で相続することになります。
遺言によって指定された割合の相続分のことを、「指定相続分」といいます。

上記のように被相続人には遺言することによって、法定相続分とは異なる割合での相続分を指定することが認められています(民法902条)。
指定相続分に関する従来の扱いでは、いかに遺言をもってなされた相続分の指定であったとしても、遺留分を侵害することはできませんでした(旧民法902条1項但し書き)。

しかし、2018年の法改正により、民法902条1項但し書きが削除されました。
このため、遺留分を侵害する相続分の指定も可能となりましたが、やはり指定相続分が遺留分を侵害した場合には遺留分侵害額請求権行使の対象となる可能性があります。

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4.侵害額請求の順序

遺留分を侵害する贈与や遺贈が複数ある場合、侵害額の請求をするためには順序が定められています(民法1047条)。
具体的には、つぎの順序で請求することになります。

  1. ①遺贈
  2. ②死因贈与
  3. ③生前贈与

順を追って見てみることにしましょう。

①遺贈

複数の遺贈や死因贈与または生前贈与によって遺留分が侵害されている場合、侵害額の請求は、まず遺贈を対象としなければいけません。
このため、遺留分権利者は受遺者に対して遺留分の侵害額を請求することになります。

なお、複数の遺贈がある場合には、それぞれの金額の割合に応じて分割して請求することになります。
たとえば、つぎのような事例で考えてみましょう。

事例設定
相続財産1000万円
被相続人
相続人乙(配偶者)

上記の事例において、被相続人甲さんが相続人以外の第三者であるAさんに600万円、Bさんに400万円を遺贈した場合どうなるでしょうか?

乙さんには、被相続人の配偶者として2分の1の遺留分が認められます。
相続財産は1000万円ですから、乙さんには500万円が遺留分として法律上保障されています。
しかし、この事例では相続財産全額が遺贈されてしまっているため、乙さんには相続すべき財産が残されないことになってしまいます。

この場合、乙さんは、A・Bに対して遺贈を受けた額の割合に応じて遺留分侵害額を請求することができます。
遺贈された財産の総額1000万円中、Aさんは5分の3(600万円÷1000万円)、Bさんは5分の2(400万円÷1000万円)を占めていますので……

Aへの請求額:(遺留分侵害額)500万円 × 5分の3 = 300万円
Bへの請求額:(遺留分侵害額)500万円 × 5分の2 = 200万円

上記の計算によって、遺留分権利者である乙さんは、Aに対しては300万円、Bに対しては200万円を請求することができることが分かります。

②死因贈与

遺贈が行われていない場合、または受遺者に対して請求してもまだ遺留分が侵害されている場合には、遺留分侵害額は死因贈与の受贈者に対して請求することになります。

複数の死因贈与がある場合には、上記「遺贈」の場合と同様、それぞれの死因贈与の財産額の割合に応じて侵害額の請求をすることになります。

③生前贈与

遺贈や死因贈与がない場合、またはそれらに対する請求をもってしても、まだ遺留分が侵害されている場合には生前贈与が請求の対象となります。

その際、生前贈与が複数行われている場合には、新しいものから順に侵害額の請求をしなければいけません。
ただし、侵害額請求の対象となる生前贈与は、原則として相続開始前1年以内のものに制限されます。

なお、生前贈与の相手が相続人である場合、侵害額請求の対象となる生前贈与は相続開始前10年以内のものまで拡大されることになるので注意が必要です。

侵害額請求の順序は指定可能

遺留分を侵害する遺贈や死因贈与、生前贈与などがある場合、侵害額の請求の順序は上記のとおりとなります。
しかし被相続人は、遺言によって侵害額請求の順序を指定することが認められています。

たとえば、被相続人がA・Bに対して遺贈する場合、もし遺留分侵害額の請求をする場合には「最初にAに請求をすること。もし足りない場合にはBに請求すること。」などと指定することができるのです。
このように指定することによって、遺留分権利者は複数の受遺者などに侵害額の請求をせずに済むようになります。
なお、侵害額請求の順序の指定は、遺言をもって行うことが必要です。

ただし、法律で定められている順序(「まず遺贈、つぎに死因贈与、最後に生前贈与」)は変更することが認められません。

5.具体的な遺留分の計算方法

遺留分侵害額請求権を行使するためには、その前提として自分の遺留分が侵害されているのかどうか、そして実際いくら侵害されているのかを知ることが大切です。

自分に認められる遺留分や、侵害されている額を知るためには、一定の計算をする必要があります。
そのためには、まずはじめに相続人全体の遺留分を計算し、そのあと自分に認められる遺留分を算出することになります。

(1)相続人全体の遺留分の計算方法

複数の相続人に遺留分が認められる場合、自分の遺留分を知るためには、まず相続人全体に認められる遺留分を計算する必要があります。

相続人全体に認められる遺留分の割合は、つぎのとおりとなります。

相続人全体に認められる遺留分の割合
①被相続人の親(直系尊属)だけが相続人の場合3分の1
②被相続人の子供(直系卑属)・配偶者が相続人の場合2分の1

相続人全体に認められる遺留分は、つぎの計算式で導き出すことができます。

相続人全体に認められる遺留分の計算式
全体の遺留分 = 相続財産(※) × 上記遺留分の割合(「2分の1」または「3分の1」)

たとえば、相続財産が1500万円で相続人が被相続人の親と配偶者の場合、相続人全体としての遺留分は次の計算をすることで算出することができます。

全体の遺留分 = 1500万円 × 2分の1 = 750万円

つまり、750万円が相続人全体に認められる遺留分となります。

なお、法定相続人中、兄弟姉妹には遺留分がいっさい認められませんのでご注意ください。
兄弟姉妹と配偶者が相続人となる場合、2分の1の遺留分が認められることになりますが、その遺留分はすべて被相続人の配偶者がもらうことになります。

(※)「相続財産」の計算方法については、「6.相続財産の計算方法」をご覧ください。

(2)各相続人の遺留分の計算方法

相続人全体の遺留分が分かったら、つぎは各相続人の遺留分を計算します。
各相続人の遺留分を計算するためには、法定相続分の割合を知る必要があります。

相続人には、被相続人との親族関係によって、つぎのように法定相続分が定められています(民法900条)。

①第1順位の相続の場合(被相続人の子供など直系卑属が相続人となる場合)

子供:2分の1、配偶者:2分の1

ただし被相続人に配偶者がおらず、子供だけが相続人となる場合には、子供は相続財産すべてを相続することができます。
なお、子供が複数いる場合には、子供に認められる相続分を等分して相続することになります。

②第2順位の相続の場合(被相続人の親など直系尊属が相続人となる場合)

親:3分の1、配偶者:3分の2

被相続人に配偶者がおらず、被相続人の親だけが相続人となる場合、被相続人の親には相続財産すべてを相続する権利が認められます。
なお、親が複数いる場合(両親が存命の場合など)には、被相続人の親に認められる相続分は、それぞれが等分して相続します。

③第3順位の相続の場合(被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合)

兄弟姉妹:4分の1、配偶者:4分の3

被相続人に配偶者がおらず、被相続人の兄弟姉妹だけが相続人となる場合には、兄弟姉妹は相続財産すべてを相続することができます。
なお、兄弟姉妹が複数いる場合には、兄弟姉妹に認められる相続分を全員で等分して相続します。

④相続人が配偶者のみの場合

第1順位から第3順位までの相続人が1人もおらず、相続人が被相続人の配偶者だけの場合、配偶者は相続財産すべてを相続することができます。

各相続人の遺留分を計算するためには、相続人全体の遺留分に対して上記の法定相続分の割合をかける必要があります。

たとえば、先ほどと同じ事例で考えてみましょう。
この事例では相続人が、被相続人の親と配偶者ですので、それぞれの法定相続分は……

親:3分の1
配偶者:3分の2

となります。

各相続人に認められる遺留分を計算するためには、相続人全体に認められる遺留分に対して上記の割合(法定相続分)を掛け合わせます。

つまり……

親の遺留分 = 750万円 × 3分の1 = 250万円
配偶者の遺留分 = 750万円 × 3分の2 = 500万円

ということになります。

遺贈や死因贈与または生前贈与によって、実際に相続できる財産の額が上記の遺留分に満たない場合、各相続人は受遺者などに対して侵害されている金額を請求することができることになります。

6.相続財産の計算方法

各相続人に認められる遺留分を計算するためには、まず遺留分算定の基礎となる相続財産がいくらなのかを知る必要があります。
相続財産を算出するためには、つぎの2つのプロセスが必要です。

①相続財産の総額に、生前贈与された財産の額を足す

遺留分侵害額請求の対象となる生前贈与がある場合、その贈与の対象である財産の額を足します。

②債務の総額を控除する

相続財産の中に借金など債務がある場合、その総額を相続財産から引きます。

つまり、遺留分算定の基礎となる相続財産は、つぎの計算式で算出することができます。

遺留分算定の基礎となる相続財産の計算式
相続財産 = 相続開始時の相続財産 + 生前贈与の額 - 総債務額

この計算によって算出された相続財産に対して、遺留分や法定相続分の割合をかけることで各相続人の遺留分を求めることが可能となります。

7.遺留分侵害額請求権の性質

遺留分侵害額請求権は、その名前のとおり、遺留分が侵害されている財産を金銭に見積もり、その金額を相手方に請求することのできる権利です。
つまり、遺留分を侵害している遺贈などによって譲渡された財産自体を取り戻すことは認められません。
あくまでも、遺贈などの対象物を金銭的に見積もり、遺留分を侵害している部分について金銭的な補償を求める権利です。

遺留分を侵害する遺贈などに関しては、2019年6月30日までは「遺留分減殺請求権」が認められていました。
これは、遺留分を侵害する遺贈などによって譲渡された財産に対して、その財産そのものを返還させようという権利でした。

しかしそれでは、遺贈などの目的物が共有になり当事者間の権利関係が複雑になるなど、各種の問題点が指摘されていました。
今回の法改正では、この点を改善すべく遺留分減殺請求権から遺留分侵害額請求権へと変更がなされたのです。

対象物の評価が必要となった

上記のように、遺留分が侵害された場合、遺留分権利者には遺留分の「侵害額」の請求権が認められるようになりました。
つまり、遺留分の侵害行為に関しては、「物」ではなく「金銭」で返すよう求めることになったのです。
このため、この権利を行使する場合には、遺贈などの目的物がいくらであるのかについて評価する必要があります。

遺留分の侵害額を請求する場合、相手方と話し合う必要があるため、両者が納得できる金額で適正に評価しなければいけません。
このため、財産の評価方法などに関しても相手方とよく話し合い、トラブルを避けスムーズに話を進めることが重要です。

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8.遺留分は放棄することも可能

兄弟姉妹以外の相続人に認められる権利である遺留分は、放棄することも可能です。
遺留分の放棄は、「(1)被相続人の生前に行う場合」と「(2)相続開始後に行う場合」の2つのパターンが認められています。

(1)被相続人の生前に放棄する場合

被相続人の生前に遺留分を放棄する場合、家庭裁判所の許可が必要とされています。
これはなぜかといいますと、被相続人の生前に遺留分の放棄を無制限に認めてしまうと、被相続人やほかの相続人等の圧力によって遺留分権利者本人の意思に反した放棄がなされる恐れがあるからです。

被相続人の生前における遺留分の放棄が認められるためには、つぎのような条件を満たす必要があります。

  • ①遺留分権利者の意思に基づくこと
  • ②遺留分を放棄することに理由があること

それぞれについて、細かく見てみましょう。

①遺留分権利者の意思に基づくこと

遺留分の放棄が家庭裁判所によって許可されるためには、遺留分権利者(遺留分が認められる相続人)自身の意思に基づいて放棄がなされることが必要です。

被相続人や、その他の相続人による不当な圧力などによって放棄がなされようとしている場合には、遺留分の放棄は許可されません。

②遺留分を放棄することに理由があること

遺留分の放棄が認められるためには、放棄することについて相当の理由があることが必要です。

たとえば、遺留分の放棄をするまでに遺留分権利者に対して被相続人から結婚や生活資金などとして十分な援助が行われている場合などは、遺留分の放棄が許可される可能性があります。
これに対して、長男など一部の相続人の相続分を多くするために行われる遺留分の放棄は、許可される可能性が低くなります。

家庭裁判所での手続きについて

被相続人の生前に遺留分を放棄する場合、家庭裁判所で一定の手続きをすることが必要です。
手続きの詳細に関しては、下記のサイトを参照してください。

参考:「遺留分放棄の許可」(裁判所)

(2)相続開始後に放棄する場合

被相続人の生前に遺留分を放棄する場合、上記のように面倒な手続きが必要となります。
これに対して、相続開始後(被相続人の死亡後)に遺留分を放棄する場合には、面倒な手続きはいっさい必要ありません。

遺留分が侵害されている場合、その相続人には遺留分侵害額請求権を行使することが認められますが、その権利を行使するかどうかは遺留分権利者の自由とされています。
このため、被相続人の死後に遺留分を放棄する場合には、遺留分を侵害されていても侵害額の請求をしなければいいのです。

遺留分侵害額請求権を行使しないことが、すなわち遺留分の放棄をすることになるということです。

9.遺留分侵害額請求権の時効とは?

法律上、遺留分侵害額請求権には時効が定められています。
具体的には、つぎのどちらかの期間を経過した場合、権利の行使ができなくなります。

  • (1)遺留分を侵害する遺贈や贈与があることを知った時から1年
  • (2)相続開始の時から10年

(1)遺留分を侵害する遺贈や贈与があることを知った時から1年

遺留分侵害額請求権は、相続の開始と遺留分を侵害する遺贈や贈与があることを知った時から1年以内に行使する必要があります。
もし、この期間内に行使しなかった場合、請求権は時効によって消滅することになります。
この場合、もはや遺留分の侵害額を取り戻す方法がなくなってしまうので注意が必要です。

ただし、自分の遺留分が侵害されていることを知った時から1年以内に時効を中断させる行為(※)をした場合、時効期間はそのときから1年となります。

(2)相続開始の時から10年間

遺留分侵害額請求権は、相続開始の時から10年以内に行使する必要があります。
この期間内に行使しなかった場合、もはや請求権を行使することができなくなります。

少し専門的な話になりますが、この「10年間」という期間は「除斥期間」であり、「時効」とは性質が異なります。
「時効」の場合は、上記のように期間内に時効を中断させる行為(裁判の提起など)をすることによって時効期間を延長させることができます。
これに対して「除斥期間」の場合、時効のように期間を延長させることが認められません。

このため仮に、相続の開始や遺留分を侵害する遺贈・贈与があることに気づかなかった場合でも、相続開始から10年を経過すると請求権の行使は認められなくなります。

10.事業承継がスムーズに!|経営承継円滑化法による特則

民法の定める遺留分は、事業を後継者に承継させる際に障害となるケースがありました。
たとえば、中小企業の経営権を長男など特定の相続人だけに承継させたい場合、株式などを長男に相続させる必要があります。

しかしこの場合、相続財産の内訳によっては他の相続人の遺留分を侵害することになり、遺留分侵害額請求権行使の対象となってしまう可能性があります。
もしほかの相続人の遺留分を侵害した場合、事業の承継者は侵害額の返済に追われることになり、事業の経営に支障を与えスムーズな事業承継に影響を及ぼすことになりかねません。

このようなことを防止し、事業承継をスムーズに行えるようにするため「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)では、遺留分に関する民法の特則を定めています。
経営承継円滑化法による遺留分に関する民法の特則を利用することによって、遺留分に起因する相続争いや自社株式の分散を防止することが可能となります。

遺留分に関する取り決めを生前に行うことが可能

遺留分は被相続人の生前に放棄することが可能ですが、そのためには家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所による許可は、かなり厳格な基準によって判断されるため、遺留分の生前放棄はあまり使い勝手のいい制度ではありませんでした。

ところが経営承継円滑化法では、被相続人の生前に遺留分に関する取り決めをすることが可能となるため、被相続人の死後に遺留分を原因とする相続争いを防止することができるのです。

遺留分に関する民法の特則の効果

経営承継円滑化法による遺留分に関する民法の特則を利用した場合、つぎのような効果が発生します。

現経営者の推定相続人全員(事業の後継者を含む)の合意の上で、現経営者から後継者に贈与等された自社株式に関して……

①遺留分算定基礎財産から除外(「除外合意」)
②遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定(「固定合意」)

……することができるようになります。
なお、「除外合意」と「固定合意」はどちらか一方、または両方を利用することが可能です。

①「除外合意」について

自社株式について「除外合意」が行われた場合、遺留分の算定の基礎となる相続財産の中から自社株式が切り離され除外されることになります。
このため、事業の後継者が現経営者から贈与等によって取得した自社株式について、他の相続人は遺留分の主張ができなくなります。
その結果、相続による遺留分の問題によって自社株式が分散するのを防止することが可能となるのです。

②「固定合意」について

自社株式について「固定合意」が行われた場合、自社株式は遺留分算定の基礎となる相続財産に含まれることになります。
しかし相続財産中の割合に関して自社株式は、合意時点での時価に固定し、その金額が評価されることになります。

このため、合意後に自社株式の株価が上昇などした場合でも、上昇分に関しては遺留分算定の対象から除外されることになります。
固定合意をすることによって後継者は、ほかの相続人から株式の上昇分に関してまで遺留分の主張をされる恐れがなくなるのです。

特例を利用するための条件

経営承継円滑化法の定める遺留分に関する民法の特則を利用するためには、まずつぎのような条件を満たす必要があります。

①会社について
非上場の中小企業であり、合意時点で3年以上継続して営業をしていること。

②現経営者について
過去又は合意時点において会社の代表者であること。

③ 後継者について
合意時点において会社の代表者であること。
また、現経営者からの贈与等により株式を取得したことによって、会社の議決権の過半数を持っていること。

遺留分に関する民法の特則を利用するためには、上記の条件を満たしたうえで、さらに(1)「推定相続人全員の合意」を得て、(2)「経済産業大臣の確認」および(3)「家庭裁判所の許可」を受ける必要があります。

(1)「推定相続人全員の合意」

特則を利用するには、現経営者の推定相続人全員(遺留分を有する者に限る)及び後継者で合意をする必要があります。
合意が成立した場合には、その内容を明記した合意書を作成することになります。

なお、「推定相続人」とは、現時点で被相続人が死亡した場合に相続権が認められる相続人のことを言います。

(2)「経済産業大臣の確認」

合意が成立した場合、事業の後継者は経済産業大臣に遺留分の特則を利用するための確認を受ける必要があります。
確認の申請は、当事者の合意日から1ヶ月以内に行わなければいけません。

(3)「家庭裁判所の許可」

経済産業大臣の確認を受けた場合、事業の後継者は家庭裁判所の許可を受けることになります。
家庭裁判所による許可の申請は、経済産業大臣の確認を受けた日から1ヶ月以内に行う必要があります。

11.遺留分侵害額請求の手順

すでにご覧いただいたように、遺留分に関する計算をした結果、自分の遺留分が侵害されている場合には遺留分侵害額請求権の行使を検討することになります。
この請求権は、あくまでも「権利」であるため、遺留分を侵害されているからといって必ず行使しなければならないものではありません。
各自の判断によって、侵害額を請求しないとすることも可能です。

判断した結果、遺留分侵害額請求権を行使する場合には、主につぎのような手順で実行に移すことになります。

相手方と話し合う

遺留分侵害額請求権は、相続の開始および自分の遺留分が侵害されていることを知った時から1年以内に行使する必要があります。
1年が経過すると、請求権は消滅時効が成立するため、もはや行使することができなくなってしまいます。

遺留分侵害額の請求は、まず相手方と話し合うことから始まります。
その際には、相手方との関係がこじれないよう、穏やかに慎重に話し合いを進めることが大切です。
いったん当事者の関係がこじれてしまうと、交渉が感情的になり、話し合いがまともに進まなくなってしまう可能性があります。

そのようなことを極力避けるためには、交渉を始める前に弁護士などの法律の専門家のアドバイスを受けることを検討するとよいでしょう。

時効が成立しそうな場合の対策|内容証明郵便を利用する

遺留分侵害額請求権の消滅時効は1年と非常に短いので、時効の成立にはくれぐれも注意が必要です。
交渉が長引き、消滅時効が成立する1年が経過しそうな場合には、侵害額の請求を明示した内容証明を送りましょう。
そうすることで、請求権が時効によって消滅することを防ぐことができます。

ただし、内容証明郵便の送付など裁判外の請求には、時効の成立を6か月間停止させる効果しかありません。
もし、交渉がさらに6か月以上長引くようであれば、調停など裁判上の手続きをする必要があります。

交渉が成立した場合|合意書を作る

裁判外の交渉によって話し合いが成立した場合、その内容を明記した合意書を作っておくことは非常に大切なことです。
いったん合意が成立したとしても、相手方が約束を守ってくれるとは限りません。
相手が約束を守らない場合でも合意書を作っておけば、合意内容を証明することができるため、いざというとき裁判で役に立ちます。

合意書は公正証書での作成が安心

合意書は当事者だけで作成することもできますが、公証人に依頼して公正証書として残しておくと安心です。
合意書を公正証書で作っておけば、相手が支払いに応じない場合、裁判を起こさずに強制執行することが可能となるからです。

公正証書を作る場合には、公証役場で所定の手続きをする必要があります。
公証役場は、日本全国に設置されていますので、最寄りの役場に問い合わせるとよいでしょう。

参考:「公証役場一覧」(日本公証人連合会)

12.遺留分侵害額の支払いに応じない場合の3つの対処法

遺留分を侵害した遺贈などを受けた相手方が、その侵害額の支払いに応じない場合、つぎのような対策を取る必要があります。

  • ① 内容証明を送る
  • ② 調停を申立てる
  • ③ 裁判を起こす

それぞれ、詳しくご紹介します。

①内容証明を送る

当事者の話し合いが成立しない場合、内容証明の送付を検討しましょう。
内容証明を送らずに、いきなり家庭裁判所で調停や裁判を起こすこともできますが、なるべく裁判外で話し合いを成立させたほうが当事者にとって好都合となることが多いものです。

内容証明を送っても話し合いが成立しない場合、裁判上の手続きをとることになります。

なお、内容証明を発送する場合には郵便局を利用することになりますが、どこの郵便局でも手続きができるわけではないので注意してください。
内容証明郵便を受け付けてくれる郵便局は限られていますので、事前に確認することをお忘れなく。

②調停を申立てる

内容証明を送っても相手が話し合いに応じない場合、より強力な方法を取らざるを得ません。
裁判外で話し合いが成立しない以上、裁判所を利用して支払いの請求を行うことになります。
この場合、いきなり裁判を起こすこともできますが、より簡易的な方法である調停を申し立てるとよいでしょう。
いきなり裁判を起こしては、問題が「裁判沙汰になった」ということで、当事者の関係をさらに悪化させてしまう恐れも考えられなくはありません。

「調停(ちょうてい)」では、裁判所において当事者の話し合いが行われます。
この話し合いの際には、調停委員が当事者の間に入り当事者間の意見調整をしてくれるため、合意が成立しやすくなります。
相手方には調停に応じる法律上の義務はありませんが、話し合いが成立した場合には確定判決と同じ効力の認められる「調停調書」が作られるので利用するメリットは十分にあります。

遺留分侵害額請求調停の詳細に関しては、以下のリンクを参照してください。

参考:「遺留分侵害額の請求調停」(裁判所)

2019年6月30日以前に発生した相続の場合

繰り返しになりますが、遺留分侵害額請求権が認められるのは、2019年7月1日以降に発生した相続に限られます。
2019年6月30日以前に発生した相続に関しての遺留分侵害に関しては、従来どおり「遺留分減殺請求権」を行使することになるので、ご注意ください。

その場合の細かい手続きに関しては、以下のリンクを参照してください。

参考:「遺留分減殺による物件返還請求調停」(裁判所)

③裁判を起こす

調停を起こしても話し合いが成立しない場合、侵害額の支払いを求めて裁判を起こすことになります。

遺留分の侵害額を見積もり、その額が140万円以下の場合には簡易裁判所、140万円を超える場合には地方裁判所に裁判を起こします。
訴訟を提起すべき裁判所は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所となります。

参考:「裁判所の管轄区域」(裁判所)

13.遺留分侵害額請求に要する費用

遺留分侵害額の請求をする場合、主につぎのような費用がかかります。

(1)内容証明を送付する場合

内容証明郵便を送付する場合、郵便局で1200円から1800円前後の支払いが必要となります。
具体的な料金に関しては、送付する内容証明の枚数や配達証明を付けるかどうかなどによって異なります。

現在では「e内容証明(電子内容証明)」を利用することで、内容証明は24時間インターネットによって発送手続きを行うこともできます。
パソコンを持っていることなど一定の条件を満たす必要がありますが、手数料が割引になり、内容証明を作成する手間暇などの節約にもなりますので、ご利用を検討してみてはいかがでしょうか?

参考:「e内容証明(電子内容証明)」(郵便局)

(2)調停を申し立てる場合

調停を申立てる場合、家庭裁判所で所定の費用が発生します。
具体的には、つぎの2種類の費用が用意する必要があります。

  • ①収入印紙:1200円分
  • ②郵便切手:1000円前後~数千円程度

郵便切手の額と内訳に関しては、手続きを行う家庭裁判所によって異なりますので、事前に確認してください。

また、調停の申立てに際しては申立書のほかに、つぎのような書類が必要となります。

  • ①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
  • ②相続人全員の戸籍謄本
  • ③遺言書写しまたは遺言書の検認調書謄本の写し
  • ④相続財産に関する証明書(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳のコピー、有価証券のコピー、債務の額に関する資料など)

これらの書類を入手するために数千円、場合によっては1万円以上の費用がかかることもあるので注意してください。

(3)裁判を起こす場合

裁判を起こす場合、裁判所にかかる費用は遺留分の侵害額として相手方に請求する金額によって異なります。
請求額が大きければ、裁判所にかかる費用(収入印紙)も多くなります。

裁判を提起する場合に必要となる収入印紙の金額は、訴訟の目的の価額(遺留分の侵害額)に応じて、つぎのように定められています。

①訴訟の目的の価額が100万円まで

10万円までごとに1000円

②訴訟の目的の価額が100万円を超え500万円まで

20万円までごとに1000円

③訴訟の目的の価額が500万円を超え1000万円まで

50万円までごとに2000円

④訴訟の目的の価額が1000万円を超え10億円まで

100万円までごとに3000円

⑤訴訟の目的の価額が10億円を超え50億円まで

500万円までごとに1万円

⑥訴訟の目的の価額が五十億円を超える部分

1000万円までごとに1万円

たとえば、50万円の請求であれば、収入印紙は5000円ですが、100万円では1万円、500万円の請求では3万円分の収入印紙が必要です。

訴えを提起する場合には、各裁判所によって定められている郵便切手を納付する必要があります。
調停の場合と同様、切手の額や内訳に関しては裁判所ごとに異なりますので、事前の確認が必要です。
一応の目安としては、5000円前後~1万円弱であることが一般的です。

なお、下記サイトでは、遺留分の侵害額としての請求額を入力することで、裁判所に必要な収入印紙の金額を知ることができます。

参考:「民事裁判申立手数料計算機」

まとめ

今回は、「遺留分侵害額請求権」について解説させていただきました。

遺留分が侵害されている場合、侵害を受けている相続人には、遺留分を侵害する遺贈や贈与を受けた相手方に対して遺留分侵害額請求権を行使することが認められます。

しかし、そのためには相手方に侵害額を支払うだけの財産があることが必要です。
もし、遺贈や贈与を受けたあと相手が財産を使いつくしてしまったら、もはや何も戻ってきません。
たとえば、遺贈を受けた相手方がその財産を消費し、めぼしい財産がなくなってしまったりした場合には、遺留分侵害額請求権を行使したとしても無意味になってしまう可能性があります。

遺留分の侵害額を請求したい場合には、できるだけ早く手続きをとることが非常に大切なのです。
そのためには、弁護士へ依頼することが一番の近道です。
弁護士に相談・依頼すれば、侵害額を迅速に回収できる可能性が高まります。

当事務所は、1日24時間、全国どちらにお住まいの方からでもご相談を承っております。
相談は何度でも無料ですので、遺留分や相続問題でお悩みの場合には、お気軽にご相談ください。
きっと、ベストな解決方法が見つかるはずです。

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