日本人の平均寿命が80歳を超え、被相続人だけではなく、相続人も高齢化してきています。そのため、被相続人よりも先に相続人の方が死亡するケースも珍しくありません。

被相続人よりも相続人の方が早くなくなったとき、代襲相続が発生します。この代襲相続人になれば、遺言書で自分が相続できる相続財産がなかったとしても遺留分を請求できるのでしょうか。

今回は、遺留分の割合や遺留分が認められる相続人についてご紹介しながら、遺留分減殺請求ができる代襲相続人を解説します。

遺留分とは

被相続人が遺言書によって「ある特定の相続人に100%財産を相続させる」と残していたとしたら、その他の相続人には財産がいかないようにも思えます。

また遺言書がなかったとしても、遺産分割協議のときに、特定の相続人に多くの財産行き渡り、他の相続人がほとんど財産を相続できない、という協議がまとまりそうになることがあるかもしれません。こういったことは、特定の人が家族の中でひときわ大きな影響力を持っているときに起きやすい現象です。

しかし一定の地位にある相続人は、一定割合の財産を求めることができます。それが遺留分です。

遺留分権利者は誰か

この遺留分は、相続人なら誰でも要求できるものではありません。遺留分を請求することを「遺留分減殺請求」と言いますが、遺留分減殺請求ができる遺留分権者は、相続人の中でも以下の人に限られています。

  • 配偶者
  • 直系尊属

なぜ兄弟姉妹に遺留分が認められないのか

民法によれば、相続人となれるのは、配偶者、死亡した人の子供、死亡した人の直系尊属、それから死亡した人の兄弟姉妹と定められています。配偶者は必ず相続人になりますが、被相続人と血縁関係にある人については、以下のように相続の順位が定められています。

  • 第1順位:子
  • 第2順位:直系尊属
  • 第3順位:兄弟姉妹

しかし先ほど見たとおり、遺留分権者は以下の通りです。

  • 配偶者
  • 直系尊属

第3順位である兄弟には、なぜ遺留分が認められていないのでしょうか?

遺留分が認められていない理由としては、第1順位、第2順位に比べて血縁関係が遠いためと考えられています。一般的に子供や直系尊属とは違い、大人になって自立した後は、兄妹姉妹同士で生計を一にするなど、経済的に密に支え合うことは少ないものです。

そういった関係性の中で兄妹姉妹にまで遺留分を認めてしまうと、本当に行き渡るべき相続人に財産が行かなくなってしまう可能性が出てしまいます。

遺留分の割合

まずは、遺留分の割合を知っておきましょう。遺留分の割合は以下のようになっています。

  • 配偶者のみ:相続財産の1/2
  • 相続人が子供のみ:相続財産の1/2
  • 配偶者と子供:配偶者が1/4、子供が1/4
  • 相続人が直系尊属のみ:相続財産の1/3
  • 配偶者と直系尊属:配偶者は2/6、直系尊属が1/6

代襲相続とは

次に代襲相続という制度についてご紹介します。代襲相続とは、被相続人よりも前に相続人が死亡していた時、その次の世代が被相続人の財産を相続する制度です。

分かりやすく説明します。被相続人には子供がいましたが、被相続人が亡くなるよりも前にその子供は亡くなっていました。その子供には子供がいます。すなわち、被相続人からすれば孫がいるということです。

この状態で被相続人が亡くなり相続が開始した場合、本来であれば相続人である子供に行くはずだった財産は、その子供、すなわち孫が相続権を得るということになるのです。これが代襲相続です。被代襲者となれるのは、子供または兄妹姉妹だけです。

代襲相続が認められる原因

代襲相続が発生する原因として、以下の発生原因があるとされています。

  • 被相続人の子、または兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡しているこ
  • 被相続人の子、または兄弟姉妹が欠格事由に該当していること
  • 被相続人の子が廃除によって相続権を失っていること
  • 被相続人の相続開始時、代襲相続人が生存していること

廃除とは、遺留分を有する推定相続人から被相続人に対して、虐待、重大な侮辱、著しい非行があった時に、被相続人が子の相続人を相続人から外す手続きです。

一方欠格とは、自分よりも先順位、または同順位の相続人を殺そうとしたり、詐欺や脅迫によって被相続人に遺言書を書かせたりしたときに相続人から外されるというものです。要件については民法で細かく定められています。

廃除は被相続人が家庭裁判所に請求する、または遺言書に書き残すことで行いますが、欠格は、法律に定められる行為があれば、当然に相続人から外されます。これらの原因がなく、代襲相続人に相続権が発生していることが、代襲相続が認められる原因となっています。

ちなみに排除に関しては、被相続人が生きている間は被相続人の意思で廃除を取り消すことができます。もちろんこの廃除が取り消されたら相続人の相続権も復活します。そのため、当然には代襲相続をするわけではありません。

では、代襲相続が認められるのはどのようなケースなのでしょうか。

代襲相続が認められる具体例

子が死亡、欠格、廃除によって孫が代襲相続する

子供が死亡家欠格廃除によって相続権を失った場合は、孫が代襲相続することになります。もしもこの孫が同じように死亡や欠格、廃除によって相続権を失っていた場合には、さらにその下の世代が代襲相続人となります。これを再代襲といいます。

兄弟姉妹が死亡、欠格によって甥姪が代襲相続する

兄妹姉妹が死亡や欠格によって相続権を失っている場合にも代襲相続が発生します。この場合は甥姪が代襲相続人となります。

では上の子供の例のように、甥姪が死亡や欠格によって相続権を失った場合にも、甥姪のさらに下の世代が代襲相続するのでしょうか。

兄妹姉妹の場合は、再代襲が認められていません。そのため、兄妹姉妹が亡くなった場合は甥姪が代襲相続人となりますが、それより下の世代に再代襲することはありません。

代襲相続人になれないケース

代襲相続人になれないケースとして、相続人が相続放棄をした場合が挙げられます。相続人が被相続人の死亡する前に既に死亡していた場合には代襲相続が行われますが、相続人が相続放棄をした場合には代襲相続は起こりません。

相続放棄の大きな趣旨は、被相続人が生前に抱えた負債などを相続人に承継させないためだからです。

代襲相続と遺留分の関係

代襲相続と遺留分についてご紹介しました。では、代襲相続と遺留分はどのような関係性を持っているのでしょうか。代襲相続人であり、かつ遺留分も認められるのは誰なのか、代襲相続人であっても遺留分が認められないのは誰なのかを見ていきましょう。

代襲相続人で遺留分も認められる人

代襲相続人であり遺留分も認められるのは、子が相続人の場合です。もし相続が始まる前に養子縁組をした場合は、養子にも代襲相続と遺留分が認められることになります。

姪甥は、代襲相続人ではあるものの遺留分は認められない

兄弟は相続人とはなれるものの、遺留分は認められませんでした。そのため、兄弟が被相続によりも先に亡くなっていた場合には、代襲相続が起こって姪甥が代襲相続人となりますが、姪甥には遺留分は認められません。

まとめ

代襲相続と遺留分の関係についてご紹介しました。相続人の立場によっては、代襲相続が認められるものもあれば認められないものもあります。また同様に、遺留分が認められる相続人と遺留分が認められない相続人に分かれます。

民法では、代襲相続人だからといって遺留分が認められるとは定められていません。特に兄妹姉妹の子供である甥姪は、代襲相続はできるものの、遺留分が認められていません。相続の際にはこれらのことを混同しないように注意が必要です。

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