今回は、職場でのモラハラに狙われないための対策と狙われてしまってからの合理的な対策について解説します。最後までお読みになって被害を回避する工夫をしましょう。

職場でのモラハラ対策

例えば、職場の係長が部下に対して、必要以上に罵言(ばげん)を飛ばします。部下は肩を窄(すぼめ)めてみじめな姿になっています。係長が過ちをおかしていても、批判するとか、反発するわけにいきませんから、係長の道具としてコントロールされてしまいます。イメージしたこのシチュエーションこそ「職場でのモラハラ」の一例です。

職場における「モラハラ」は、上司や同僚などの加害者が主体となって、部下など被害者の心理状態をコントロールする違法なアクションですから、法的には「職場における不法行為」の案件になります。

そうだとすれば、法的にも非難されるモラハラ現象の発生を防ぐ配慮が要請されます。裏を返せば、ターゲットにされないような勤務態度がたいせつというわけです。

このレベルに視点をおけば、「モラハラ被害を受ける前の対策」が重要といえましょう。

それでも、現にモラハラ被害が生じてしまったケースでは、どのような対策で対処すべきでしょうか。このレベルになれば、「モラハラ被害が生じた後の対策」が要請されます。

まず「モラハラ被害が生じる前の対策」は、モラハラを生起する可能性が高い性格の人物が職場で発見されたときには、彼を取り巻く周りの職員はターゲットにされないような対策が必要になります。彼に狙われないように工夫した応対がたいせつです。

これに対し、彼がモラハラを生起させたのちには、被害を受けた被害者を救済する対策を考えなければなりません。たとえば精神的苦痛を受けた慰謝料請求訴訟を想定した事前の対策がその一例になります。

そこで、ここでは、モラハラの発生前と後に分けてそれぞれの対策法について分りやすく解説していきましょう。

モラハラ被害が生じる前の対策

基本的な勤務姿勢

モラハラの被害者にならないためには、加害者に狙われないような「基本的な勤務姿勢」がたいせつになります。

職場における人間関係は、誠意をもって対応すれば信頼され、スムーズに仕事ができるでしょう。

しかしモラハラの主体になりやすい人は、自己愛性の人格障碍者ですから、普通の感覚は通用しません。ですから「彼との接し方」を工夫しないと狙われてしまいます。そこで彼に狙われないような接し方としての基本姿勢を考えてみましょう。

彼とにこやかに話し合い、打ち解けた気持ちを通わせようとする努力はおすすめできません。この姿勢は自己中心主義で生きる彼には通用しないからです。

それならどうにもならないとおっしゃるかもしれません。無駄な努力はやめて、メンタルな深入りをしないで、「表面上の付き合いに徹する」ようにおすすめします。

モラハラの主体となりやすい異常な人格者は、モラハラの被害者になりそうな人を発見する力が強いともいわれます。深入りすると、じぶんの弱みを察知されるかもしれません。弱みを見せない姿勢がたいせつです。

表面上の付き合いだけでなく、できれば、彼とは「関わらないよう徹底する」姿勢になるようおすすめします。

結局、モラハラの被害者にならない対策は、モラハラの主体になりやすい加害者に付け込まれないようにするための工夫といえましょう。

工夫の視点は、モラハラの主体に狙われないように、彼を刺激しない基本的な勤務姿勢が重要だという帰結になります。

モラハラ被害に遭ってしまった後の対策

それでは、モラハラの防止対策をしたのにもかかわらず、現実にはモラハラが生起してしまったときには、どのような対策が考えられるでしょうか。

職場でのモラハラを訴える

職場でモラハラの被害を受けたときには、その実情を周りに知らせ、訴えてみてはどうでしょうか。

まず、周りに訴えるときの姿勢を考えておきましょう。

モラハラのターゲットにされ被害を受けると、「ああ、苦しい!」とか「ああ、なんと辛いことか」と叫びたくもなりましょう。それでいくらか心理的に安定するなら叫ぶのもよいでしょう。

しかし、周りに訴えるときには、それだけではモラハラから解放されません。もっと訴え方の工夫が重要になります。

ただ、「係長からいつもモラハラされて苦しいわ」と叫んでみても、被害を受けていない職員からは、同情されるどころか、かえって「係長に罵倒されるのは、あなたが、まだ社会人として未熟だからでしょう」と批判されるかもしれません。

そこで係長にモラハラされたときのシチュエーションを書面に記載して係長の上司にあたる部長に提出してみましょう。参考までに書面の記載例をあげておきます。

書面の記載例

わたしは1日に30分以上も、みんなの職員が見ている状態で、係長に怒られています。

なぜ叱られているのか、その理由がわかりません。なぜですか、と聞き返しても係長は理由を説明してくれません。「お前それでも正社員か!」と罵倒されます。

1週間に4回は、こうしたモラハラ状態に巻き込まれてしまいます。

係長に呼び寄せられて罵倒されている間は、じぶんの仕事ができません。

仕事が遅れると、また罵倒されるという悪循環でストレスが蓄積され、もう限界ですから退職するしかないと考えるようになりました。

結局、残業するとか、仕事をじぶんの家に持ち帰り、仕事の遅れを取り戻しています。

モラハラ状況から解放されるような手立てをお願いいたします。

このような書面は、当面の対策として有用ですが、のちにモラハラの被害者として、加害者を被告とする慰謝料請求訴訟を提起する段階になれば、モラハラ行為の存在を立証するための「証拠資料」としても役にたちます。

相談相手を探す

モラハラの実情を部長などの管理者に報告する気になれないどきには、どうしたらよいでしょうか。そのようなお気持ちはよくわかります。

しかしモラハラの被害を周りに訴えるためには、周りのだれかにその真相を話す必要があります。

そこで話す相手として信頼できる相談相手を探すようにしましょう。

実は、モラハラの被害者にされると、周りから孤立してしまう傾向がみられます。周りから孤立してしまうと、悩みはじぶんのハートのなかに蓄積され、心理的な負担が重荷となります。

そこで孤立しないようにする工夫として、職場で信頼できる相談相手を探すようおすすめします。

ハートのなかにストレスが蓄積しないよう、できるだけ早い段階で、相談相手を見つけましょう。

信頼できる相手が見つかれば、苦しさを打ち明け、心理状態がらくになります。

欲をいえば、職場にモラハラの主体になりそうな人がいるときには、モラハラのターゲットにされる以前に、相談相手を見つけておくのがよいでしょう。

証拠保全をする

モラハラの主体となった加害者に対して、被害者が精神的な苦痛を受けた慰謝料を請求する場合に備えてモラハラの証拠を保全しておきましょう。

モラハラの証拠を保全する手法としは、電話や面談時の暴言を録音する、モラハラを受けたときのシチュエーションを日記またはメモに記載しておく、精神的苦痛を受けて心理的な被害が生じているという専門医の診断書を準備する、などが考えられます。

録音

たとえば、加害者が被害者を中傷するような暴言を吐いているケースでは、それをボイスレコーダーなどに録音しておくのがよいでしょう。

この録音は職場の部長や課長など加害者の係長を監督する上司にモラハラの事実を報告するときにも役にたちます。

まして慰謝料請求訴訟を提起したときには、加害行為を証明する重要な証拠となります。

係長から別室に呼び出されてモラハラを受ける危険性が予測されるときは、レコーダーをスーツのポケットに隠しておくのもよいでしょう。

クリアーな音声で録音できる専用録音機をおすすめします。

携帯用の録音機をスーツのポケットにいれておけば、モラハラが始まるとすぐ録音できるでしょう。

日記・メモ

そして、モラハラをうけたときは、記憶が新しいうちに、モラハラの状況を詳しく日記に書き込むとか、メモ帳に書き残しておきましょう。

日記帳やメモに残すときには、「いつ」、「どこで」、「だれが」、「なにをしたか」を具体的に記載することがたいせつです。

こうした物的な証拠によって、モラハラによる加害行為という不法行為の性格を証明できるでしょう。

専門医の診断書

モラハラによって精神的な損害を受けた事実は専門医の診断書によって証明します。 

医師の診断書を準備するには、精神科で専門医の視察を受ける必要があります。

受診のときには、まず問診票に記入しなければなりません。

それぞれの質問項目については、真実をそのままでチェックします。

こうしてチェックマークを入れた問診票には、先に紹介したような日記帳やメモ帳のコピーを添付すると歓迎されます。

この要領で信頼できる精神科を受診して現在の症状について診断書を作成していただきましょう。

診断書により加害行為によって「発生した結果」を証明できます。

モラハラ事件の処理は弁護士に相談

これまで見てきた結果として、自分が勤務している職場にモラハラの主体として不法行為の加害者になる可能性のある人が存在しているときには、念のためモラハラのターゲットにされないような「モラハラ以前の対策」があると判明しました。

その対策を上手に工夫してモラハラのターゲットにされないようにしましょう。

事前にモラハラ対策を立てて安心して能力を発揮できる、明るい職場を形成する努力をおすすめします。

それにもかかわらず、モラハラのターゲットにされてしまったときには、どのような対策があるかも、確認できましたから、その対策をうまく実行して損害を縮小し、モラハラ事件を解決しましょう。

とりわけ、録音とか、日記やメモによるテクニック、専門医の診断書など証拠をうまく保全しておくようおすすめします。

そもそもモラハラによる不法行為は、モラハラの主体による加害行為の存在した事実の  証明がむずかしい案件です。

そうだとすれば、自分で処理するのはむりなケースが多くなりましょう。

そこで、信頼できる弁護士に依頼するようおすすめします。

モラハラから解放されて明るい職場で活動しましょう。

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