モラルハラスメントの加害者の代表格といえば、会社勤めをしている方ならすぐに思い浮かぶのが「上司」でしょう。上司は部下よりも立場が上であることを利用して、権力の濫用によって相手を支配しようとする点に特徴があります。

家庭内での配偶者によるケースとは違い、上下関係が明確にされている上司と部下との関係においては、反論して楯突くことが端から困難な状況であるともいえます。現実問題として、職場での上司によるモラハラによって精神疾患となり退職を余儀なくされたり、最悪のケースでは自ら命を絶つといった事件も少なくありません。

しかし中には、自身が被害にあっていることにすら気付かずに、「自分に落ち度があるから上司は怒っているんだ」「この程度の叱責で落ち込むのは自分が弱い人間だからだ」と自己否定に走る方もいます。まさにこれが、上司によるモラハラで精神的にコントロールされた状態の人の発想といえるでしょう。

そこでここでは、これまでに数多くのモラハラ相談を受けてきた弁護士が、上司から部下に対するモラハラの典型的な特徴をピックアップし紹介します。該当する箇所があれば、自身がターゲットにされ被害を受けていることを認識し、解決への一歩へ踏み出しましょう。

モラハラ上司の典型的な7つの特徴

この視点から職場における「モラハラ上司の特徴」を探ってみてはどうでしょうか。

管理職の座にすわっている職場のモラハラ上司には、次のような特徴がみられます。

  • 相手の部下を惹きつける
  • 相手の部下を孤立させる
  • 部下の自主性を奪う
  • 相手を認めないで洗脳する
  • 周りに当て擦りする
  • 責任を周りに転嫁する
  • 自分を偉そうにみせようとする

職場の上司に、このような兆候はみられませんか。もう少し、これらの内容を確かめてみてはどうでしょうか。

1.部下を惹きつける

まず職場で管理職の席に座っている上司は、モラハラのターゲットとされる相手の部下を自分に惹きつけるといわれます。それも巧妙な手口で惹きつけするので、部下は自分がモラハラのターゲットとされているとは気がつきませんから、騙されたままモラハラの被害者になってしまいます。

心理的な縄で縛りあげられた部下は、自分に対する上司の態度を信頼しきっていますから、もう逃げようともしません。心理的に惹きつけられたまま、部下は加害者としての上司に服従していき、深いモラハラの淵に沈淪(ちんりん)してしまいます。

周りを惹きつける魅力的な上司は、仮面を被ったモラハラの鬼ですから、上司に惹かれるまま必要以上に好意的になるとか、素敵なイメージを与えすぎないようにしなくてはなりません。

2.部下を孤立させる

魅力的な職場の上司は、巧みな手法で部下を惹きつけ、心理的に施錠すると、このターゲットを周りから引き離して孤立させ、自分でターゲットを独占的にコントロールしようと企みます。溺愛する女性を他の男性には渡さないで、愛を独占しようとするケースと心理構造は類似しているかもしれません。

他の同僚から孤立させられた部下は、周りに味方はいなくなり周囲を敵ばかりと思い込んでしまいます。ターゲットがそういう心理構造になると、それだけ上司と結びつきが強化されます。

そして、周りから孤立した部下に対して、「あいつらは使いない」「あいつらは無能社員だ」「みんな馬鹿者ばかりだから」とターゲットに語りかけます。すると、ターゲットにされた部下は周りを信頼できなくなり、すべて上司のいうままに動くようになってしまいます。

部下がそうした心理状態になれば、部下として、いつも上司に監視されていると思い、業務の処理も上司にとって有利な方向で対処するようになります。モラハラが成功したケースといえますが、被害者の部下は自分の能力を発揮することもできないまま上司の道具として働きつづけることになるでしょう。

3.部下の自主性を奪う

管理職の席に座っているモラハラ上司には、自分が管理している部下の「自主性」を奪う特徴があるといわれます。

自分の部下に、自立精神が旺盛で有能な人がいるときは、なにかと上司を批判してうるさいため、有能な彼を無能なダメ人間のように取り扱い、そのターゲットに自信を喪失させ、優れた自主性を剥奪しようとするケースがみられます。そのターゲットの自主性を奪い取り、自主的に判断できない、ただの道具にし、自分の意思どおりに心理的なコントロールを企てるわけです。

例えば、職場で部下が担当している仕事の処理に必要で重要な情報を、上司がわざと伝達しないで、部下の仕事を混乱させ、心理的に苦しいシチュエーションに追い込むケースが想定されます。他にも、有能な部下にその能力以下の軽い仕事を割り当てて部下の尊厳を傷つけてみたり、逆に部下が達成困難な難題を命じ、不達成により自信を喪失させるなどの手口もあります。これらはモラハラによる侵害行為の違法性を証明しにくい案件となります。

具体的にみれば、新入社員、派遣社員などの自主性を奪うのは、比較的に容易でしょう。これに対し、ベテラン社員、中堅社員の自主性を奪うのは難しいかもしれません。それでも、期間をかけて自主性を奪われた有能な人材も、やがて上司に対して自分の意見を言わなくなり、自分では判断できない上司の道具になるかもしれません。上司の道具にされない段階で、心理的なコントロール状態から脱出する工夫をおすすめしましょう。

4.相手を認めないで洗脳する

モラハラ上司には、部下などの相手の立場を認めないで、精神的にコントロールして洗脳してしまうという特徴が指摘されています。

モラハラ上司はターゲットを選ぶと、「お前ほどのバカはいないよ」・「君ほどのダメ人間を見たことがない」・「もう。どうにもならい女だな」などと暴言を浴びせていきます。相手を無視して、ダメ人間扱いを継続して、「あたし、ほんとにダメ女だわ」・「オレ、ほんとに課長のいうとおりダメな役に立たない人間だ」と思いこませ、ターゲットを洗脳してしまいます。

洗脳されてしまうと、本当にダメ人間になってしまう危険性がないとは言い切れません。こうしたシチュエーションに追い込まれときには、心理的な知識に詳しい弁護士や心理士などに相談するようおすすめまします。

5.周りに当て擦りする

モラハラ上司には、トラブルが発生すると、自分のせいにしないで、周りが悪いと責任逃れをするほか、「当て擦り」をする特徴があります。

「当て擦り」とは、ミサイルのように人に向けられ、効果的な手ごたえを意図した強気の発言といわれます。モラハラ上司が用いる「当て擦り」というアクションは、被害者に対し直接的な暴言による攻撃ではなく、横道からの間接的な攻撃です。

ターゲットに選んだ部下に対し、直接に暴言などで攻撃すると、横暴な上司だといわれてしまいますから、「別に君に言っているわけではない」と思わせるような間接的な攻撃をするという、上司の巧妙な手口です。間接的な「当て擦り」でも、おなじようなパターンが繰り返されているうちに、それだけ心理的にコントロールされがちになり、知らないうちに、モラハラの被害者になってしまいます。

ターゲットを直接的に攻撃すると、逃げられてしまうまもしれないので、間接的にあいまいな発言をして、もやもやした精神状態に追い込み、モラハラを達成しようとする巧妙なアクションでしょう。

6.責任を周りに転嫁する

こうした「当て擦り」をする上司は、自分ほど優れた管理者はいないと考えていますから、自分のミスを認めないで、自分の責任を部下に転嫁する傾向があります。

上司は自分の責任を回避して、その責任を部下に転嫁するため、部下を冷酷に扱いようになります。ダメ人間の部下と違い、自分の決断は正しいと信じているのがモラハラ上司です。

ですから、ミスをしてもその結果を部下など周りのせいにしないとハートのなかの静穏を保てなくなっているのでしょう。自己愛的で、自分ほど正しい管理者はいないと自信をもっていますから、平気で無責任なアクションにでてしまいます。

7.自分を偉くみせようとする

モラハラ加害者となりやすい職場の上司は、孤独な権力者といわれています。管理者の席に座りこんで、ふんぞり返っていますが、実は一皮剥けば孤独な存在なのかもしれません。それでいて、いかにも権力者風に、自分の周りには「自分を偉くみせかけよう」とします。

私は偉いのだとは言わないで、わざわざ専門語を多く用いるとか、抽象的な表現をするというポーズをとって、偉そうにみせかけます。

モラハラのターゲットとされた部下は、内容を理解できなくても、長時間にわたって、じっと聞くしかありません。緊張して聞いているだけで、部下は疲れてしまい、上司の意見を批判するとか、疑問点を聞き返すこともできない心理的状況に追い込まれてしまいます。完全にモラハラのターゲットにされたわけです。

上司のアイデンティティを正確に把握するようおすすめします。

職場でのモラハラ被害者によくみられる特徴とは

それでは、この辺で「モラハラの被害者」にも特徴があるのか、確かめてみましょう。

そもそもモラハラの加害者は、ターゲットとされる被害者を利用して、その心理状態をコントロールしようとしていますから、加害者に付け込まれやすいタイプの人はターゲットにされてしまいます。そうだとすれば、加害者に付け込まれやすい性格が、被害者の特徴になりましょう。そうした性格の人を探ってみましょう。

1.責任感が強いタイプ

モラハラのターゲットとされやすい被害者の大きな特徴としあげられるのは、「責任感が強い性格」のタイプでしょう。責任感が強いという性格は、モラハラの加害者はじぶんを正当化して、責任を他人に転嫁する傾向があるのとは逆の性格といえます。

このように責任感が強いタイプの人は、一度、取り組んだ案件はそれが達成するまで、やり遂げようとしますから、加害者からはコントロールしやすいので、モラハラのターゲットにされてしまいます。

2.几帳面な性格

責任感が強い人は、ものごとを誤魔化(ごまか)せない「几帳面」なタイプでもあります。几帳面な人は、細かいところまで、きちんと処理しなければ気がすみません。いえかえれば、律儀(りちぎ)で生真面目な性格の人です。周りからは信頼されやすいタイプですが、モラハラの加害者からすれば、格好なタイプといえましょう。

3.献身的な性格

責任感が強く、几帳面な人には、職場で発生した案件の処理にも献身的な人が多いようです。そうした人は加害者が仕向けた方向で献身的に動きますから、加害者サイドからは利用しやすくなり、皮肉にも、モラハラの標的にされてしまいます。

4.罪悪感をもちやすい

職場などの周りでトラブルが発生すると、責任感が強い人には、じぶんのせいかもしれないと感じやすい傾向がみられます。じぶんのわがままから、あんな事件が発生したのだ、と思い込んでしまいます。そこで、罪悪感をもちやすい奴だと知られれば、モラハラ加害者に付け込まれます。

5.周りに依存しやすい性格

モラハラの被害者には、職場の上司とか、同僚に依存しやすい傾向がみられます。職場の上司や同僚に支配されても抵抗しないどころか、支配され、束縛されているシチュエーションに、かえって安堵感を感じてしまうタイプです。そうだとすれば、加害者からは格好なターゲットといえましょう。

6.気が弱いタイプ

周りに寄り掛かり、他人に依存したがる人には、気が弱いタイプが多いようです。気が弱いから、自己主張をしないで、周りに同調するしかありません。批判されても反批判して反発する気になれません。じぶんの気持ちを表現するのが苦手といえますから、モラハラの加害者に付け込まれてしまいます。

7.我慢できるタイプも

しかし、気が弱いというよりは、苦しいことに我慢強く耐えることができるタイプも、モラハラ加害者のターゲットにされやすいといわれます。心理的に苦しい状況に追い込まれても、じっと我慢して対応できる我慢強いタイプの人に対しては、あいつならやり抜くとみられやすいので、我慢できそうな彼なら、コントロールできると受け止められ、加害者の標的にされてしまいます。

8.良い人とみられたい願望

さらに職場など周りから「良い人と思われたい」という願望が強いタイプも加害者に付け込まれやすいケースといわれます。周りから良い人だと思われるためには、依頼されると断るわけにいきません。依頼すればなんでもするのだから、モラハラの加害者のターゲットにされてしまいます。

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