モラハラをめぐる数多い案件のうち、今回は、職場でのモラハラの具体的な事例をご紹介します。

職場で生起する可能性があるモラハラに巻き込まれないような工夫の一環として、具体的なモラハラの事例を確認されるようおすすめします。

職場でのモラハラの具体例

まず「モラハラの基本的な3類型」から見ていきましょう。

狭義における「職場いじめ」といわれる「モラハラ」には次のような3類型があります。

  • 作為的ないじめ類型
  • 強要的ないじめ類型
  • 不作為的ないじめ類型

これらの類型ごとに、モラハラの事例を探ってみましょう。

作為的なモラハラの具体例

暴言

職場における「作為的ないじめ」の類型にあたるモラハラ事例としては、「暴言」があげられます。

職場の男性社員が、女性社員に対して、「おまえ、それでも女か!」、「バカ女!」、「なにしているのだ、この馬鹿女」などと暴言を吐きます。

課長が部下の係長に対して「おまえ、それでも係長か、この大馬鹿野郎!」、「あの役立たずの大馬鹿女子社員をクビにしろ!」、「管理職が無理なら、いつでもクビにするから」というふうに怒鳴りちらします。

ときには、「デブ」とか「禿」とか「チビ」とか「ブス」などいう名誉棄損的な言動もみられます。

その発言が「モラハラ」といえるかの判断は、「暴言を吐く側」と「暴言を受ける側」との人間関係の性質、暴言を吐く頻度などケースバイアケースで異なりますが、その「暴言を受ける側」がその暴言によって精神的圧迫を受けるような暴言は、職場のモラハラとみるべきでしょう。

結局、モラハラ暴言といえるかどうかの判断基準は「社会通念」といえましょう。

暴言の具体例

それでは、モラハラの暴言とみられる事例を整理しておきましょう。

  • 「お前の代わりなど、いくらでもいる」と侮辱する。
  • 「女は男のいうことを聞いとけばいい!女の癖に口答えするな」と女性を蔑視する。
  • 「あんたは仕事が出来ないのだから私の言うことだけを聞いていればいい」と部下を軽蔑。
  • 「あんたのやり方、おかしいのよ!あんたのせいで、私の評価が下がるから明日から会社に来ないで!」と部下を貶す。

これらの暴言が多数の人の前で吐かれた事例では、公然と事実を適示していますから、名誉棄損罪の構成要件としての公然性を充足します。ですから名誉棄損罪が成立します。

すると、暴言者は、不法行為に基づく損害賠償責任とは別に、名誉棄損罪の正犯として刑事責任にも問われます。

その他の作為的な職場モラハラの具体例

たとえば会社で男性社員Aが使用している彼のデスクの引き出しから、事務処理用の器具を女子社員Bが、こっそり持ち出してロッカーの奥に隠匿してしまうのも、作為によるモラハラの一例になります。

このモラハラは、その財物に対するAの「占有」を侵害していますから、窃盗罪にもなりましょう。

女性社員Aのロッカーから男性社員Bがコートを持ち出し、トイレットの壁に移動するアクションも作為によるモラハラの事例になります。

Bは、そのコートを自分で占有する状態を継続しているわけではありませんが、すでに「Bの占有」を侵害しているので、窃盗罪にもなります。

市役所の女性職員甲は、愛をささやいて振られた男性職員乙のデスクの上のパソコンを開いて灰皿で叩き、損傷しました。

乙は精神的にダメージを受け、欠勤するようになってしまいました。

このケースも作為的モラハラの一例です。

甲は乙に対する不法行為責任という民事責任のほか、器物損壊罪として刑事責任にも問われます。

強要的な職場モラハラの具体例

次に強要的職場モラハラの具体例をあげておきましょう。

  • 職場の同僚Aが、「当番制」になっている便所の掃除を、モラハラの対象に選んだ同僚Bにだけ強制的に掃除させる状態に追い込みます。
  • 職場の係長Aが、モラハラの標的になっている部下Bに対し、脅迫文句を繰り返し、退職届をむりやり提出させました。
  • あれをやりなさい、これもやりなさい、と課長がモラハラの標的とされる係長に対して強要します。係長は精神的に混乱状態においこまれてしまいました。

これらの事例のうち、AとBのケースはモラハラの他、「パワハラ」と評価される可能性があります。

不作為的な職場モラハラの具体例

市役所で、同僚の職員が作業を分担しなければならいケースにおいて、ほかの同僚には役割を分担しながら、モラハラの標的とされる職員にだけ役割を振り付けないで孤立状態に追い込むケースがあります。

こうしたタイプの対応が、職場の同僚同士でみられるときは、モラハラといえますが、このような対応が課長などの管理職と部下の間で見られるケースでは、「モラハラ」ではなく、むしろ「パワハラ」と判断されるでしょう。

市役所内で特定の職員を無視するとか、ほかの職員に対し、特定の職員を無視するよう命じるとか、協力を求めることも、職場モラハラの一例になりましょう。

いずれにしても、「仕事を与えない」とか、「特定の職員を無視する」というアクションは、被害者に対する関係では「不作為」ですが、被害者に精神的な圧迫を与えるものですから、法的には被害者の人格の尊厳を損なうアクションになります。ですから、不作為でも、モラハラといえます。

法律問題・トラブルで悩んでいる方は弁護士に無料で相談しましょう

全国対応で24時間、弁護士による無料相談を受け付けております。

弁護士と話したことがないので緊張する…相談だけだと申し訳ない…とお考えの方は心配不要です。

当法律事務所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。弁護士に解決方法だけでもまずは聞いてみてはいかがでしょうか。

ご相談のみで問題が解決する方も多くおられますので、日本一気軽に相談できる法律事務所にメールまたはお電話でご連絡ください。