前科とは|前歴との違いや前科にまつわる疑問について弁護士が解説

警察に逮捕された、嫌疑をかけられたなどというだけで「私は前科がつくから」、「前科持ちだから」と勝手に決めつけていませんか?実は、警察に逮捕されただけ、嫌疑をかけられただけでは前科はつきません。

この記事では刑事事件に詳しい弁護士が、警察に逮捕、検挙されただけでは前科がつかない理由も含め、まずは

・前科

について解説するとともに、

・前科に関する様々な疑問

についてもお答えしてまいります。

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1.前科とは。前歴との違いは?

前科とは、罪を犯した人が「犯人であること」の経歴・証のことをいいます。前科は、罪を疑われた被疑者が「起訴」されて被告人となり、刑事裁判で「有罪」とされ、その裁判が「確定」した(不服申し立てができない状態になった)という経過を経てはじめてつきます。この経過を経てはじめてその人がその罪の「犯人」とされるのです。

刑事裁判が「確定」するまでは誰しもが無罪推定の原則を受け「犯人」でないのです(刑事事件では「被疑者」「被告人」と呼ばれます)。この無罪推定の原則が及んでいる限り(つまり、逮捕、検挙されただけでは)前科はつきません

前科の内容は刑事裁判で受けた刑罰、量刑のほか、判決年月日、判決を言い渡した裁判所名などです。前科がつく刑罰は重いものから死刑、懲役、罰金、禁錮、拘留、科料の6種類です。前科は実刑、執行猶予の場合を問わずつきます

前科の情報は検察庁に勤務している検察事務官が管理し、関係機関から照会があった場合に前科調書という書類を作って回答しています。

前科調書は再犯した場合に、常習性や量刑を決める上で有力な証拠(前科証拠といいます)となる可能性があります。

前科一犯とは

前科一犯とは、過去に刑事裁判で有罪判決が確定し、1回前科が付いた人のことをいいます。2回前科がつけば二犯、3回つけば三犯となります。

なお、令和元年の犯罪白書によると、検挙された人数に対する過去に検挙された者の割合を示す再犯率が、平成30年度は48.8%と過去最高になっています。検挙者数は年々下降傾向にありますが、再犯者率は増加していますので、前科二犯、三犯~の者が増えていると言っていいでしょう。

刑法犯 検挙人員中の再犯者人員・再犯者率の推移

前歴とは

前歴とは、罪を「疑われた」経歴・証のことをいいます。前歴は無罪推定の原則が及んでいる段階でもつきます。つまり、前歴は検挙、逮捕される、あるいは刑事処分で不起訴処分を受けた場合であってもつきます。検挙歴、逮捕歴という場合、それは前科ではなく前歴のことを指します。

前歴の情報はデータを管理している警察官が管理しています。そして、他の警察官から照会があった場合にのみ、犯歴事項照会回答書という書類を作って回答しています。

証拠としての価値は前科調書よりは劣ります。

前科と前歴の違い

以上の前科と前歴の違いを表にまとめると以下のとおりとなります。

つく時期管理する人書類証拠価値
前科刑事裁判が確定した後検察事務次官前科調書強い
前歴犯罪の嫌疑を受けた後警察官犯歴事項照会回答書前科調書より弱い

2.前科に関する様々な疑問について

以下では前科に関する様々な疑問にお答えします。

器物損壊や万引き、交通違反では前科はつかない?

例えば、器物損壊や万引き(窃盗)といった犯罪を犯し、略式起訴(裁判をせずに簡易的に罰金刑で刑事手続きを終わらせる起訴方法)で罰金刑を受けただけでも前科はつきます。

そもそも、器物損壊罪や窃盗罪は一般的に軽い罪だと思われがちですが、どちらも懲役刑が科せられることもある犯罪です。

同様に、交通違反も軽微な犯罪だと思われがちです。たしかに、軽微な交通違反であれば、一定期日までに反則金を払うことで刑事手続きを免除される制度(交通反則通告制度。いわゆる青キップ)があります。しかし、一般道で30キロ以上、高速道で40キロ以上のスピード違反をしたようなケースでは、道路交通法違反で10万円以下の罰金刑となります。

また、これまでの裁判例をみると、80キロ以上の速度違反では6ヶ月以下の懲役刑が科される可能性が高いといえます。もちろんそれ以下でも、裁判官が「悪質」と判断したケースで懲役刑となった判例もあります。

罰金刑も懲役刑もともに刑事罰ですので前科はつくことになります

前科を調べられることはある?

基本的には調べられることはありません。

前科の情報は検察庁で厳重に管理されています。検察庁は照会があった場合に前科調書を作成して前科情報を回答しますが、プライバシー保護の観点から民間人や民間企業からの照会には応じていません。警察など特定の機関からの照会にのみ応じています。

また、前科者の本籍地にある市区町村役場では、罰金以上(交通違反を除く)の刑に処せられた者の情報を検察庁から提供を受け、犯罪者名簿という文書で管理保管しています。ただしこの名簿は、前科により選挙権・被選挙権を失っていないか、特定の資格(弁護士・弁理士等)を要する職業に就く場合の欠格事由に該当しないか、国家試験の受験資格の有無、を確認するために用いられます。そのため、民間人、民間企業からの照会に応じることはありませんし、市区町村も前科情報を厳重に管理しています。

戸籍には載らない?

結婚した者(配偶者)であれば、相手の戸籍謄本や抄本、住民票の取得ができます。

しかし、戸籍や住民票、その他、住民基本台帳に前科が記載されることはありませんので、夫や妻に前科持ちであることを調べられることもありません。

ネットには載らない?

殺人等の重大犯罪を犯し、有罪判決を受けて裁判が確定したことがマスコミに実名報道されれば、ネットのニュースサイト等に掲載されますので、名前の検索で前科が調べられることはあるでしょう。しかし裁判確定まで報道されるような事件は稀ですので、ネットで調べられても前科がバレることは少ないでしょう。

ただし、皆さんご存じのように、「逮捕された・検挙された」といった”前歴”についても実名報道されることは多々ありますので、誰かがアナタの名前をネット検索することで逮捕歴がバレることはあるでしょう

一度ネットに情報がアップロードされると、掲示板やブログ、他の情報サイトに拡散して掲載され、それらを消去するのは困難となります。犯罪事件に関する情報は公益性が高く、名誉毀損を根拠に削除要請しても応じてもらえないことがほとんどであるからです。お悩みの方は、ネットの情報削除に強い弁護士に相談してみましょう。

前科は消える?

残念ながら消えません。

つまり一生残ります。

もっとも、上記のように、マスコミ報道されるような稀なケースを除けば前科が外部に流出することはありませんから、必要以上に負い目をおって生活する必要はないでしょう。また、実刑の場合は刑が終わった(服役が終わった、罰金を完納した)場合、執行猶予の場合は執行猶予期間が経過した場合は刑の効力が失われ、犯罪人名簿から削除されたり、免許・資格を取得できるようになります。

前科があると就職できない?不利?

前科の内容や就職しようとする職業によります。

免許を必要とする職業(弁護士、司法書士、行政書士、不動産鑑定士、医師、公務員、自衛隊員、保育士、社会福祉士、警備員、建設業者、貸金業者、古物商など)については、前科の内容によっては欠格事由に該当し、一定期間、免許・資格を取得できず就職できない場合があります。

例えば、医師や看護師、助産師といった医療従事者は、罰金刑以上の前科が欠格事由となります。裁判官・弁護士・検察官は禁固刑以上の前科が欠格事由となります。

免許を必要としない職業については、面接時に聞かれたり、履歴書に賞罰欄が設けられている場合は正直に回答する必要があります。もし前科があるのに「前科なし」と虚偽の申告をすると、採用後にそれが企業に発覚すれば、経歴詐称として懲戒解雇の処分を受ける怖れがあります

賞罰欄の「罰」は、前歴も含むの?

履歴書の賞罰欄の「罰」とは、「確定した有罪判決(つまりは前科)」をいいます(東京高裁判決 平成3年2月20日)。そのため、逮捕された・不起訴処分になった・起訴猶予になったといった「前歴」については、特段、企業側から求められない限り、それを書かなかったことによって経歴詐称とはなりません

面接時に聞かれなかったら?

最近の履歴書には賞罰欄がないものが多く、賞罰欄が設けられていないのであればわざわざ自分から前科を記載する必要はありません

しかし、面接時に前科や前歴について聞かれたときに虚偽の申告をすれば、就業規則を根拠に懲戒解雇されることもあります。ただ、面接で聞かれなかったのであれば、自己申告する義務はありません

企業が前科を調べることはある?

上でお伝えしたように、前科者の情報は、検察庁や市区町村役場が管理保管しているものの、民間の企業の照会に応じることはありません。前歴の情報は警察が管理していますが、これについても警察に照会しても回答されることはありません。

ただし、繰り返しとなりますが、ネットに前科や前歴と実名がセットで出回っていれば、それを採用担当者に調べられて特定される可能性はあります。

前科があると海外旅行に行けない?

前科の内容によっては海外旅行に行けなくなる可能性があります。

海外旅行に行くにはパスポートが必要ですが、前科の内容によってはそのパスポートが発給されない可能性があるからです。前科が「禁錮以上」の場合(執行猶予の場合を含む)だとパスポートの発給を受けることができません。もっとも、禁錮以上の前科を有する場合でも、刑の服役が終わった、執行猶予期間が経過した場合は発給を受けることができます。また、禁錮以上とは懲役、死刑のことを指しますから、罰金の前科のみの場合は発給を受けることができます。

パスポートがあれば必ず外国に入国できる?

短期間の海外旅行であればほとんどの国でビザ(査証)なし渡航ができますが、滞在日数や渡航目的よってはビザの申請が必要ですし、必ず必要な国もあります。ビザの申請は渡航先国の大使館や領事館で手続きを行いますが、その際に、犯罪歴について問われたら正直に回答しなくてはなりません。犯罪歴を虚偽申告したことが発覚すると、アメリカのケースでは一生入国を拒否される事態になります。

また、ビザを申請するにあたり犯罪経歴証明書(無犯罪証明書ともいいます)の提出を求められることもあり、犯罪歴があれば入国を断られることもあります。せっかく日本を出国したのに、外国に入国できなかったということがないよう、事前に渡航先の国の大使館や領事館にビザの申請や犯罪経歴証明書が必要か確認すべきでしょう。各国の公館への連絡先は、駐日外国公館リストをご覧になって下さい。

3.まとめ

前科は刑事裁判を受け終え、その裁判が確定した後につきます。他方、前歴は刑事裁判前の逮捕歴、検挙歴、処分歴(不起訴など)などでもつきます。前科がばれる可能性は低いとはいえ、前科を消すことはできません。また、一定期間、免許・資格を必要とする職に就けなかったり、選挙権・被選挙権をはく奪されたり、海外旅行に行けないなどの不利益を被る可能性もあります。

このような不利益を回避するために前科がつくことは避けたいところですが、日本では起訴されると99.9%以上の有罪率ですので、前科をつけないためには不起訴処分に持ち込む必要があるでしょう。そのためには被害者との示談交渉等が必要となります。

大切な家族やパートナーに前科がつかないよう出来るだけの対策をとりたいとお考えの方は、当法律事務所までお気軽にご相談ください。親身誠実に対応いたします。

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