面会交流を拒否する4つのリスク|拒否を正当化できる証拠とは?

離婚時に面会交流について取り決めたものの、やはり面会交流を拒否したい、と思われている方も多いのではないでしょうか?

しかし、他方で、「一度、離婚した相手と取り決めた面会交流を拒否することはできるのか」と疑問に思われている方もまた多いと思われます。

そこで、この記事では、

  • 面会交流とは
  • 面会交流を拒否できないケース
  • 例外的に拒否できるケース
  • 面会交流を拒否できない場合に拒否した際のリスク
  • 面会交流を拒否する場合の注意点
  • 面会交流を拒否するやり方、収集すべき証拠
  • 面会交流の負担を減らす方法

について弁護士が詳しく解説してまいります。

ぜひ最後までご一読いただき、面会交流を拒否する際の参考としていただければ幸いです。

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1.面会交流とは

面会交流とは、離婚などを契機として一緒に暮らすことができなくなった親が子と実際に会って面会する、連絡などを取り合うことをいいます。

そして、相手に面会交流を求めることができる権利のことを面会交流権といいます。

面会交流権は離婚した親の他、別居中の親などにも認めらます。

離婚する際には、協議又は裁判で父又は母との面会、交流に関して定めなければならないとされています(民法766条1項、2項)。

(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第766条
1.父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2.前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、w:家庭裁判所が、同項の事項を定める。

2.面会交流権は親の権利と同時に子の利益のため

前記の「1」のとおり、面会交流は父又は母に認められた法律上の権利です。

また、民法766条1項に「(この場合においては、)子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」と規定されているとおり、面会交流は親の権利であると同時に子の利益のためでもあるということがお分かりいただけると思います。

つまり、面会交流により、子は一緒に暮らしている親から得ることができない経験や利益を得ることができるだけでなく、両方の親からも愛されているのだという充足感、安心感を得ることができるのです。

そして、そのことが子の自己肯定感を育み、子の健全な成長へとつながっていくのです。

3.面会交流は原則、拒否できない~拒否できないケース

以上から、面会交流(権)は親の権利と同時に子の利益でもあるため、原則、拒否することができません

裁判所も、「子の福祉を害するなど、面会交流を制限すべき特段の事情がない限り」、面会交流を認める立場を取っています。

以下は全て「面会交流を制限すべき特段の事情がある」とはいえず、面会交流を拒否することはできないケースです。

⑴ 子どもが「会いたくない」と言っている、会うことを嫌がっている

子が真に面会交流を拒否している場合は拒否できます。

しかし、この場合、子は親の言うことに歩調を合わせてこう言っているだけかもしれません。

相手と会った途端、自分の言ったことを忘れ相手との面会、交流を楽しむ子もいます。

なお、子が15歳以上の場合は、理由を問わず、子の意思を尊重しなければなりません。

⑵ 子どもがなじんでいる今の環境をかき乱されたくない

この理由も⑴と同様、親権者が考える子の利益であって、子の本当の利益とはいえません。

⑶ 養育費を払ってもらえない

面会交流と養育費の支払いは交換条件ではありません。また、子の利益のためともいえません。

⑷ 相手が別の相手と付き合っている

お気持ちは理解できますが、子と相手の関係とは無関係です。

⑸ 不倫した相手と会いたくない

親の都合としかいえません。面会交流の際に相手と会いたくなければ、第三者を介して面会交流させるなど面会交流のやり方を工夫する必要があります。

⑹ 相手の父母(子からみた祖父母)に会わせたくない

相手の父母に面会交流権はありません。しかし、相手がどう面会交流するかは条件がない限り相手の自由です。相手の父母に会わせたくないならば、そうした条件をきちんと取り決めておく必要があります。

4.面会交流を拒否できるケース

前記「3」のとおり、面会交流は原則、拒否することはできませんが、例外的に拒否できる場合があります。以下は面会交流を拒否できるケースです。

⑴ 面会交流を制限すべき特段の事情が認められる

裁判所は「面会交流を制限すべき特段の事情がない場合」には面会交流を認めるという立場です。

しかし、これを反対に解釈すると、そうした特段の事情が認められる場合には拒否できるということになります。

「面会交流を制限すべき特段の事情」とは以下のケースです。

① 相手が過去に子に虐待をしていた

虐待とは殴る、蹴るなどの「身体的虐待」、子への性的行為などの「性的虐待」、食事を与えない、風呂に入れないなどの「ネグレクト」、無視する、子の前で第三者に暴言・暴力を振るうなどの「心理的虐待」です。

なお、子ではなく子の親に対する虐待があった場合は、直ちに面会交流を拒否できるというわけではありません。虐待の頻度、子への影響、子の意向、相手の反省の程度、第三者を介して面会交流できるかどうかなどの事情を考慮して面会交流を拒否するかどうかを判断しなければなりません。

② 相手が子に対して暴力を振るう、暴言を吐く、子を連れ去るおそれがある

相手が子に対して暴力を振るう、暴言を吐く、子を連れ去るおそれがあるかどうかは、相手が過去にそうした行動をした事実からはもちろんのこと、現在の言動、過去の言動などから推察する必要があります。

③ 相手が精神的に不安定

相手にアルコール依存、薬物依存の疑いがある、相手が精神的に不安定である、という場合は、子に危険行為が及ぶなど、子との安全な面会交流を期待できないおそれが高いといえるからです。

④ 約束とは異なる条件を突き付けられている

面会交流の条件、やり方については協議(話し合い)や裁判で決めています。したがって、面会交流はその条件に従って行う必要があります。相手が取り決めた条件に従わずに、取り決めた条件とは異なる条件、無理な条件を突き付けてきた場合には面会交流を拒否することができます。

⑵ 面会交流に関する(離婚)協議中、(離婚)調停・審判中

面会交流に関する協議中、調停・審判中、すなわち離婚に向けた協議中、調停・審判中という場合は、まだ面会交流に関する具体的な取り決めが行われていない段階ですから、面会交流を拒否することができます。

5.面会交流の拒否を正当化するためには証拠が重要

面会交流を拒否するといっても、後記「7」のとおり、最終的には調停や審判で「面会交流を制限すべき特段の事情」を主張する必要があります。

そして、「面会交流を制限すべき特段の事情」を主張するためには、それを裏付ける証拠が必要となります。

主な証拠としては以下のものがあります。

注意点としては、供述(記憶に頼る主観証拠)よりも、供述以外の証拠(事実をありのままに語る客観証拠)の方が重要視されるということです。

  • 怪我した部位の写真
  • 動画
  • ICレコーダー・ボイスレコーダー
  • メモ、日記
  • メールの送受信履歴
  • カルテ、診断書
  • 警察、児童相談所、DVセンター(配偶者暴力相談支援センター)に相談した際の相談記録
  • 虐待を受けた子の供述、親の供述

面会交流を制限すべき特段の事情がありそうな場合は、可能な限り、こうした証拠を収集、保全しておくことが必要です。証拠の収集、保全にお困りの場合は早い段階で弁護士などの専門家に相談しておきましょう。

6.面会交流を拒否した場合の4つのリスク

面会交流を拒否できないにもかかわらず拒否した場合には、以下の4つのリスクを負う可能性があります。

⑴ 家庭裁判所から履行勧告される

家庭裁判所から履行勧告されるのは、

  • 協議離婚で協議離婚書を作成し、それを公正証書にした場合
  • 裁判離婚(調停、審判など)で面会交流について取り決めがなされた場合

です。

履行勧告とは、家庭裁判所から親権者(監護者)に対して「調停、審判などで決まった面会交流の内容を守ってください」と促す手続きです。

相手から家庭裁判所に履行勧告の申出がなされると、家庭裁判所から履行勧告に関する連絡書がご自宅に送付されます。

もっとも、この履行勧告には強制力はありませんから、これを無視して履行しなくても(非親権者に面会交流させなくても)かまいません。

⑵ 間接強制される

間接強制とは、家庭裁判所から面会交流させないことを条件に、面会を希望する相手への金銭の支払いを命じられ、その心理的プレッシャーを背景として、間接的に面会交流を促そうとするものです。

たとえば、家庭裁判所から「1回、面会交流させないごとに、相手に対して〇万円支払え」という命令を受けます。

しかし、「〇万円払うのはもったいないので、面会を認めてやろう」という気持ちに強制的にさせるのが間接強制というわけです。

〇に入る金額は、通常「5~10万円」が平均とは思いますが、近年は高額化の傾向にあると言われています。

家庭裁判所から間接強制されるのは、

  • 裁判離婚(調停、審判など)で面会交流について取り決めがなされた場合

ですが、その場合でも、調停等で面会交流の内容について、詳細かつ具体的に定めていた場合に限って間接強制される、ということになっています。

⑶ 損害賠償請求(慰謝料請求)される

協議や裁判で面会交流について詳細かつ具体的に定めた場合には、相手は面会交流する権利を取得し、親権者には面会交流させる義務が生じます。

したがって、ご自身が面会交流させるべきにもかかわらずさせなかった行為は「不法行為」に当たり、不法行為によって相手に対して精神的苦痛を与えたと認められる場合には慰謝料を請求される可能性があるのです。

もっとも、面会を拒否しただけで直ちに慰謝料請求されるわけではありません。

たとえば、

  • 調停や審判などで面会交流の方法が具体的に決まっている
  • 虚偽を述べて面会交流を妨害していた
  • 面会交流を長年拒否し続けていた

    など不法行為の違法性が強度であると認められる場合に限り慰謝料請求されやすいといえます。

    なお、⑵の間接強制のお金と慰謝料は全く別物です。

    間接強制のお金は面会交流をさせるための手段となるお金で、面会交流をさせれば支払う必要はありません。

    これに対して、慰謝料は面会交流をさせなかったことに対する賠償金ですから、あとで面会交流させたか否かにかかわらず支払う必要があります。

    ⑷ 親権者が変更される

    正当な理由なく面会交流を拒否し続けた場合は、相手から親権者変更の調停を申し立てられる可能性があります。

    そして、調停や審判で親権者として不適格と判断された場合には親権者を変更されてしまいます。

    面会交流は相手の権利であるとともに、子の利益、子の健全な成長のためでもあります。

    そこで、調停や審判で「子の親権者として不適格」と判断された場合には親権者を変更されてしまいますので注意が必要です。

    過去の裁判例(福岡高裁平成27年1月30日)では、

    • 親権者の母親が、子どもの育児をないがしろにして職場の男性と遊んでいたこと
    • 保育園の行事への参加が消極的で、保育料の未納が続いていたこと
    • 父親と比較して育児のサポートを頼れる人がいないなど養育環境に不安があること

    などの事情から、母親から父親へ親権が変更されています。

    7.面会交流の拒否を認めてもらう方法

    前記「6」のとおり、離婚の協議や裁判で面会交流に関する条件を取り決めたにもかかわらず、これを遵守せずに面会交流を拒否し続けた場合は間接強制、慰謝料請求などされる可能性があります。

    もし、面会交流を拒否したいのであれば、まずは相手と話し合い説得してみることです。

    それでも相手が納得しないということが多いと思いますが、その場合は、面会交流に関する再度の調停、審判を申し立てましょう

    再度の調停、審判では、主張が認められれば面会交流自体を拒否できる、あるいは調停、審判で取り決めた以前とは異なる条件で面会交流させる、ということが可能となります。

    もっとも、面会交流自体を拒否する場合には、前記「5」でご紹介したように「面会交流を制限すべき特段の事情」を裏付ける証拠を提出して証明していく必要があります。

    8.面会交流の負担を減らす方法

    あなたが「相手の面会交流を拒否したい」と考えているのは、面会交流のやり方自体が現状に合っておらず、相手の面会交流を負担に感じているからかもしれません。

    そこで、面会交流を拒否する前に、以下のことを試してみて、面会交流を継続させてみる、というのも一つの方法です。

    ⑴ 第三者機関に面会を依頼する

    全国には面会交流を支援する公益社団法人、NPO法人などの第三者機関がございます。

    そうした団体に面会交流を依頼してみるのも一つの方法です。

    支援の方法としては、

    子の受け渡しを団体が行う「受け渡し型」、面会交流の場に援助者が付き添う「付き添い型」、援助者が双方の親に連絡を取り、面会交流の日時、場所等の調整を行う「連絡調整型」など団体によって様々です。

    また、団体によって有料で支援を行う団体、無料で行ってくれる団体など様々です。

    まずは、ご自身がどんな形の支援を求めるのか決めた上で、団体がどんな支援を行っているのか、希望する支援を受けることはできるのか、費用はいくらかかるのかなどを確認するとよいでしょう。

    ⑵ 面会以外の方法による面会交流を考える

    面会させるだけが面会交流ではありません。面会させることが負担となっているようならば、面会以外の方法による面会交流を検討してみましょう。

    たとえば、最新のやり方であれば、Zoom、Skype、LINEを利用したオンライン面会という方法があります。

    その他には、以前から行われている手紙・写真のやり取り、プレゼント交換などがあります。

    いずれの方法を取るにせよ、以前取り決めた面会交流の条件と異なる場合には、まずは相手と話し合い、再度の調停・審判を申し立てて詳細な条件を取り決めておくこと(条件を書面に残しておくこと)が大切です。

    9.まとめ

    面会交流は相手親の権利とともに、子の利益、子の健全な成長のためでもあるので、原則拒否することはできません

    親本位による面会交流の拒否は原則認められないと考えた方がよいでしょう。

    拒否できないにもかかわらず拒否した場合は、履行勧告、間接強制、慰謝料請求、親権者変更などのリスクが生じますから注意しましょう。

    他方で、相手が子に虐待を加えていた、暴力を振るうおそれがあるなど、相手親の権利を保護する必要がなく、面会交流が子の利益とはならず、子の健全な成長を阻害するおそれがあるなど、面会交流を制限すべき特段の事情がある場合には、例外的に拒否することができます。

    拒否するためには、裁判(調停・審判)で、ご自身の主張を裏付ける証拠を提出する必要があります。

    そのため、日頃から証拠を集めておくことも大切です。

    また、少し視点を変え、面会交流を頭から拒否するのではなく、あくまで継続させる方向で行きながら、他方で、面会交流の方法を見直してみることもひとつの方法です。

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