
離婚するには離婚届さえ提出すれば離婚は成立すると考えていませんか?
確かに、まずは離婚届がなければ離婚は成立しません。しかし、離婚届に記入されている内容がはたして真実なのか否か受付側が確認するためには様々な書類が必要となります。
そこで、この記事では
- 離婚届と必要書類
について解説した上で、
- 離婚届が受理されない場合
- 離婚届提出後にやらなければならない手続
について弁護士が詳しく解説いたします。
ぜひ最後までご一読いただき、離婚届を提出する際の参考にしていただければ幸いです。
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Contents
1.離婚届と必要書類
離婚届を提出する際に必要となる必要書類は離婚の方法によって異なります。
⑴ 協議離婚の場合
協議離婚した際に必要となる必要書類は以下のとおりです。
必要書類 | 注意事項 |
---|---|
離婚届 | 離婚当事者双方及び成年(20歳以上の者)の証人2人以上の署名・押印(印鑑)が必要です。 |
届出人(夫および妻)の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) | 本籍地がある市区町村役場の窓口に離婚届を提出する場合は不要です。 |
届出人の印鑑 | 朱肉を使うもの(シャチハタは不可、認印・実印は可)で、離婚届に押印した印鑑であることが必要です。離婚届に押印する印鑑は夫婦別々のものであることが必要です。届出人以外の方が窓口に提出する場合は届出人の印鑑は不要です。 |
市区町村役場の窓口に行く方の顔写真付きの身分証明書 | 運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなどの官公署発行の顔写真付きのもの。 郵送で提出する場合は届出人の身分証明書の「写し」で構いません。 また、届出人以外の方が窓口に提出する場合は届出人以外の方の身分証明書が必要です。 |
離婚の際に称していた氏を称する届 | 離婚後も現在の氏を継続して使用したい場合に必要です。 |
⑵ 裁判離婚の場合
裁判離婚(調停離婚、審判離婚、和解離婚、認諾離婚、判決離婚)した際に必要となる必要書類は以下のとおりです。
① 各離婚形式共通
協議離婚の場合と同様に以下の書類が必要となります(注意事項についても協議離婚の場合と同じです)。
- 離婚届
- 届出人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
- 届出人の印鑑
- 市区町村役場の窓口に行く方の顔写真付きの身分証明書
- 離婚の際に称していた氏を称する届
② 離婚形式別
- 離婚調停:調停調書の謄本
- 審判離婚:審判調書の謄本/審判の確定証明書
- 和解離婚:和解調書の謄本
- 認諾離婚:認諾調書の謄本
- 判決離婚:判決書の謄本/判決の確定証明書
なお、戸籍法上、調停離婚の場合は「調停が成立した日」、審判離婚の場合は「審判が確定した日」、和解離婚の場合は「和解が成立した日」、認諾離婚の場合は「相手方が請求を認諾した日」、判決離婚の場合は「判決が確定した日」を含めて10日以内に、市区町村役場の窓口に離婚届を提出しなければならないこととされています。
期間内に離婚届を提出しない場合は5万円以下の過料に処せられる場合がありますので注意が必要です。
もっとも、過料は罰金、科料などと異なり刑罰ではありません。したがって、過料に処せられたとしても前科はつきません。
2.国際離婚の場合の離婚届と必要書類
国際離婚する場合は夫又は妻のどちらかが外国人、あるいは夫・妻双方が外国人の場合や離婚届を提出する市区町村役場によって必要書類が異なります。
提出する前に必ず市区町村役場に必要書類を確認しましょう。
以下では、「夫又は妻のどちらかが外国人」の場合に一般的に必要とされている必要書類をご紹介します。
⑴ 協議離婚の場合
協議離婚した際に必要となる必要書類は以下のとおりです。
- 離婚届
- 日本人の夫(又は妻)の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
- 届出人の印鑑
- 市区町村役場の窓口に行く方の顔写真付きの身分証明書
- (日本人の)住民票
※離婚届を提出する市区町村内に住民登録がない場合 - 外国人登録証明書
- 離婚の際に称していた氏を称する届
⑵ 裁判離婚の場合
裁判離婚した際に必要となる必要書類は以下のとおりです。
① 各離婚形式共通
協議離婚の場合と同様に以下の書類が必要となります。
- 離婚届
- 日本人の夫(又は妻)の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
- 届出人の印鑑
- 市区町村役場の窓口に行く方の顔写真付きの身分証明書(運転免許証など)
- (日本人の)住民票
※離婚届を提出する市区町村内に住民登録がない場合 - 外国人登録証明書
- 離婚の際に称していた氏を称する届
② 離婚形式別
- 離婚調停:調停調書の謄本
- 審判離婚:審判調書の謄本/審判の確定証明書
- 和解離婚:和解調書の謄本
- 認諾離婚:認諾調書の謄本
- 判決離婚:判決書の謄本/判決の確定証明書
3.離婚届が受理されないケース
離婚届や必要書類を市区町村役場の窓口に提出しても受理されず離婚が成立しない場合があります。どんな場合なのでしょうか?
⑴ 離婚届不受理申出を出されていた場合
離婚届不受理申出とは、夫婦の一方が、他方に離婚届を提出される前に、市区町村役場の窓口で、離婚意思がなく離婚届を受理しないよう申出ておくことをいいます。
離婚が成立するには
- 離婚届提出時に離婚意思があること
- 不備のない離婚届及び必要書類を市区町村役場の窓口に提出すること
が必要なところ、夫婦の一方が、離婚意思がない旨の意思を表明しておくと、他方が離婚届を勝手に提出したとしても受理されることはありません。
⑵ 離婚届の内容に不備がある、必要書類に不備がある場合
離婚当事者・証人の署名、押印がない、本籍地の記載に誤りがあるなど離婚届の記入内容に不備がある場合、これまでにご紹介した必要書類に不備がある場合は、離婚届は受理されません。
また、未成年の子がいる場合は夫又は妻のいずれかを親権者を定めなければならず、離婚届にもその旨記入する必要があります。親権者を定めていない場合、離婚届は受理されません。
4.離婚届提出後にやらなければならない手続
離婚届を提出した後もやらなければならない手続はたくさんあります。具体的には以下の手続です。
住所・戸籍に関する手続 |
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社会保険・年金に関する手続 |
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名義変更の手続 |
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子・支援制度に関する手続 |
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離婚後の日常生活に関する手続 |
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5.まとめ
離婚の方法によって必要書類が異なります。離婚届の記入内容に不備がある、必要書類に不備がある場合などは離婚届を受理してもらえず、訂正しない限り離婚は成立しません。
また、離婚届提出後も状況の応じて様々な手続が必要となりますからこの際しっかり確認しておきましょう。
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